乳化重合は塗料、バインダー、繊維加工、紙加工、土木・建築、接着剤、粘着剤などのラテックス製品やプラスッチックス、ゴムなどのソリッド製品など多様な製品に応用されています。さらに乳化重合技術の発展・拡張に伴い電気・電子、情報、医用などの機能性高分子ミクロスファエアとしての用途が拓けています。他方、我が国では乳化重合理論の研究は下火になり日本語の文献発表や成書の出版も絶えています。
そのような事情から本講座は、①乳化重合理論を最近の進歩を含め解説する。②理論を実際の乳化重合プロセスや反応操作に適用し製品の高機能化、トラブル防止に役立て開発の効率化を図ることを狙いにするものです。さらに時間が許せば③様々な高分子ミクロスフェアの合成について概説します。
- 必用な予備知識
- 乳化重合理論
- Smith-Ewart の古典理論
- Harkins の定性理論
- Smith-Ewart 理論 (一次ラジカル進入、ミセル発生説)
- 粒子内ラジカル数の収支と平均ラジカル数 (nav)
- ミセルからの粒子発生と粒子数
- 粒子内モノマー濃度
- 重合速度
- 重合期間 (1~3期) と各期間の特徴
- Smith-Ewart 理論からの逸脱
- 親水性モノマーに対する均相発生モデル
- 油溶性開始剤による乳化重合
- 粒子へ進入するラジカルの種類と生成機構
- 一次ラジカル進入説
- Maxwel-Gilbert 等のオリゴマーラジカル進入説
- 木村の Cross-creation 仮説
- 乳化重合理論の製品開発への適用
- 乳化重合反応操作と特徴
- 乳化重合操作の分類と特性
- バッチ (回分) 重合とセミバッチ (半回分) 重合の違い
- 連続重合
- 特徴あるラテックスの合成
- ソープフリー乳化重合
- 水溶性モノマーの共重合 (官能基導入)
- シード乳化重合及びコア/シェル粒子
- 粒子径と粒子径分布制御
- 高固形分化
- スケールアップ上の留意点
- スケールアップにより何かどう変化するか?
- 原料の配合と添加
- 撹拌・混合
- 伝熱
- 様々な高分子ミクロスフェアの合成
- マイクロエマルジョン法
- ミニエマルジョン法
- 二段膨潤法
- 分散重合および非水系分散重合
- 逆相エマルジョン