(2017年4月5日 10:30〜12:10)
リチウムイオン電池は、小型・軽量化に優れた二次電池で、携帯電話やノートパソコンなど携帯機器の電源として利用されており、電気自動車やハイブリッドカーの電源としての実用化もなされようとしている。 現在、リチウムイオン二次電池の負極材料には、総合的性能に優れた黒鉛系材料が主に用いられている。しかし、黒鉛の容量には限界 (理論容量:372mAhg – 1) があり、高い電流密度下での性能 (レート特性) はそれほど良くないなどの理由から、特に車載用電池の次世代型電極材料の開発が求められており、シリコンはその有望な材料のひとつである。 シリコン系負極の問題点である充放電サイクルに伴う容量劣化の改善のため、種々の検討が進められており、本講座では、これらの動向を概観し、そのうち表面修飾・改質技術による方法を中心に解説する。 特に、気相成長 (chemical vapor deposition、 CVD) 法によるリチウムイオン二次電池負極用炭素、シリコンへのカーボンおよびシリコンコーティングによる表面修飾について紹介する。
(2017年4月5日 13:00〜14:40)
主に産業廃棄物として扱われているシリコン切粉の現状、シリコン切粉を用いた次世代リチウムイオン電池の負極の研究・開発動向と、その波及効果について紹介する。
(2017年4月5日 14:50〜16:30)
リチウムイオン電池は、近年、その用途を車載用途や産業用途などの大型電池に広げつつある。これらの大型電池では従来の高容量・高出力といった特性に加えて、耐熱性や安全性等が要求されており、現在の汎用「リチウムイオン電池」ではこれらの要求を十分に満たすことが難しい。あわせて、電池の高容量化は、どの用途と時代においても要求され続けるテーマである。 電池のエネルギー密度向上の観点から、現行の黒鉛系負極の数倍以上の高容量化が可能なシリコン系負極が注目されている。様々なメーカーから、活物質やバインダ、集電体、補強材、添加剤などが提案されている中、今後も材料と電池特性を理解して、用途に応じた電池を使い分けることが重要になってくる。 今回は、各種のSi系負極を作製して電極性能評価と電池安全性評価を行い、各構成材料が電池の安全性に及ぼす影響について紹介する。また、現状の単一大量生産される市販電池では対応しにくいバイオロギング用電池とその実証試験結果についても紹介する。