透明樹脂が、ディスプレイ用光学フィルム、光ディスク、光学レンズ、光ファイバー、タッチパネルなど各種光学部材に用いられている。さらに、次世代照明、フレキシブルディスプレイなど次世代光技術の実用化においても、透明樹脂の果たす役割は大きい。各種光学部材の機能を高め、次世代技術を実用化させるには、屈折率制御、複屈折制御、高透明化などポリマーの光学特性を高性能化する必要がある。
本講座では、光技術分野へ透明樹脂を応用する際、重要となる光学特性 (透明性、屈折率、複屈折) について、高分子構造と関係づけて定量的に解説し、理想的な光学特性を実現するにはどのようにして構造を制御し、どのような分子設計を行ったらよいのかについて理解していただく。光学用透明樹脂の開発、設計に必要な基礎知識が得られる講座となっている。
- 第Ⅰ講 透明樹脂の基礎
- 透明になるポリマーとは
- 非晶構造とガラス状態
- 第Ⅱ講 屈折率制御と低複屈折化
- 屈折率制御
- 屈折率と分子構造
- 屈折率の波長依存性
- 屈折率の温度依存性
- 屈折率の制御、高屈折率化
- 透明ポリマーの屈折率予測システム
- 低複屈折化
- 複屈折と屈折率楕円体
- 配向複屈折
- 応力複屈折
- 複屈折の低減化
- 第Ⅲ講 光吸収・散乱メカニズムと高透明化
- 光吸収損失
- 電子遷移吸収
- 原子振動吸収
- ポリマーの分子構造と光吸収損失
- 光吸収損失の低減化
- 光散乱損失
- 光散乱法による高次構造解析
- 屈折率不均一構造と光散乱損失
- 高透明化のための高次構造制御
- ポリマーの分子構造と光散乱損失
- 光散乱損失の低減化
- 高透明化
- 高透明ポリマーに要求される分子特性
- 高透明化のための分子設計
- 透明ポリマーの透明性予測システム
- 第Ⅳ講 透明ポリマーのエイジング
- ガラス状態とガラス転移温度
- 高分子ガラスの物理的エイジング
- エイジングによる光学特性変化
- 光学特性の安定性・信頼性