(2017年4月10日 10:00〜11:30)
“塗料”の特長である形状や膜厚の高い任意性を活用することにより、これまで電磁波シールドにおいて課題とされてきた複雑形状やわずかな隙間からの電磁漏洩を効果的に抑制することができる。 更に、現在広く利用されている様々な電磁波シールド技術と複合的に組み合わせることにより、シールド効果をより向上できる可能性について論じる。
(2017年4月10日 12:10〜13:40)
本講演は電力機器の筐体 (あるいは電力回路の金属ケース) の磁界遮蔽についての解説である。電源や動力機器などの大電力機器では、回路に流れる大電流により低周波磁界が発生する。電力回路から漏えいする低周波磁界は隣接する他回路への干渉源となり、また、ラジオ、その他の放送通信機器へ回り込んで雑音源となるので、できる限り抑制するのが望ましい。 電源回路のスイッチング周波数を考慮すると、発生磁界は数10kHz~100MHzに渡る高調波において連続的に発生することが多い。この比較的低周波の波長は3m~30kmと非常に長いので、機器筐体は電波伝搬の観点からは”近傍界”である。 一般に、近傍界の遮蔽は遠方界よりも考慮すべきファクターが多く、厄介である。特に磁界遮蔽は導電材を用いても効果が小さくなることに加え、電力機器筐体では放熱のための開口も必要となるなどの事情があり、さらに複雑になる。そのため電力機器に磁界遮蔽が必要なことは理解していても、効果的な遮蔽材の構成、遮蔽効果の定量的把握は難しい。 本講演では電力回路筐体の電磁遮蔽について、磁界の漏えい現象や磁界遮蔽効果を理解することを目的に、電波伝搬、近傍界遮蔽の扱い方などの基本事項の紹介、および、実用面で重要な開口を有する筐体 (筐体の一面全体が開口部、あるいは周期穴のあいた筐体板) についての磁界漏えい現象、磁界遮蔽効果を解説する。
(2017年4月10日 13:50〜15:20)
1996年のEMC規格令以来、電磁波シールド技術は電子機器のノイズ対策として不可欠なものとして、開発・製造・販売されて来た。 本稿では、これらのノイズ対策の市場を俯瞰するとともに、車載や医療などの新たな応用分野や新技術の方向性などを紹介する。
(2017年4月10日 15:30〜17:00)
高度情報化社会の発展に伴い、身の回りには様々な電磁ノイズが飛び交っていて、電磁波障害 (EMI) 対策が重要視されている。EMI対策として、ノイズフィルタや、ノイズ抑制シート、電磁波吸収用磁性木材などの開発が進められている。 本講座では、心臓ペースメーカーなどの医療機器へのEMI対策として、電磁波シールド効果を有する金属磁性材料を被覆したナノファイバー不織布および数十μm径ファイバー不織布の作製方法やその電磁波シールド特性について説明する。 2007年4月より開始した研究であるが、その当時は、特に金属磁性材料被覆ナノファイバー不織布の開発事例は少なく、IEEEや日本磁気学会の論文誌に計3件掲載され、2009年9月には日本磁気学会学術奨励賞 (内山賞) を受賞している。