本セミナーでは、プラスチックの硬化収縮・熱粘弾性挙動に起因する残留応力の発生メカニズムと防止法について、事例をふまえて詳解いたします。
プラスチックの成形は、射出成形、押出成形、ブロ-成形等の種々の方法で行われるが、いずれの成形方法でも加熱による溶融状態で流動により所定の形状が賦与された後、固化、冷却される。この固化、冷却の段階では、プラスチックは溶融状態から凝固あるいは硬化反応により固化した後、冷却による温度の低下あるいは硬化反応の進行に伴いやわらかいゴム状態から粘弾性そして硬いガラス状態へとその力学的挙動が大きく変化し、同時に凝固、硬化および冷却にともなう収縮を生じ、いわゆる熱粘弾性挙動を示す。 そして固化、冷却の段階で外部からの冷却や内部での発熱が大きいとプラスチック内部には温度分布が生じ、場所により力学的挙動に差異を生じることにより、大きな残留ひずみ、残留応力が発生する。 ここでは、上述の残留応力の発生メカニズムを、熱粘弾性力学モデルを用いて定性的に説明し、熱粘弾性挙動に伴う残留応力の理論的、実験的な取扱法及びその低減化法について平易に解説する。