次世代リチウムイオン二次電池 (LIB) では、その高性能化が必須条件であり、高電位系電極材料の活用が求められています。例えば、現在提案されている正極活物質を安定して高電位で作動させるためには、その物質自体の安定性を向上すること、その表面を保護すること (電解液との反応を抑制すること) 、あるいは新しい電解液を開発することなどが必要となっています。 我々は、これまでとは全く異なる表面保護方法『自己組織化単分子膜』により、高電位で安定作動するリチウムイオン二次電池構成を見い出しました。5V級Ni – Mnスピネル系正極活物質だけでなく、他の正極活物質や負極活物質、さらには固体電解質などへの応用展開も可能になります。さらに、フラックス概念を導入した新しい材料合成手法を広く概説します。 他に例のほとんど無い材料合成・界面接合プロセスであり、学術的アプローチだけでなく、産業的視点からも俯瞰しています (いずれも工業化・量産化に優れ、低コストでの表面処理を実現できます) 。また、材料合成のみならず、表面保護や活物質構造維持を実現する新規表面改質技術である『ガラスフラックス法』も概説します。これらの表面改質方法や材料合成・界面接合プロセスは、様々な電池構成に応用するための材料設計の自由度が高いため、多様なリチウムイオン二次電池の性能向上を可能にします。もちろん、ナトリウムイオン電池や多価イオン電池など、幅広い材料にも適応できることも魅力です。