本セミナーでは、化粧品の処方設計において重要な使用感と防腐について、原料を切り口に解説いたします。
化粧品の処方設計で大事なことは使用感 (官能評価) である。その使用感を大きく左右するのが、分子量が大きいポリマー (高分子) 素材となる。本講演では、最初に高分子の種類や特性などの基礎的知識と応用を述べる。さらに各種の高分子について、化粧品処方中での水との関係、使用感への影響を述べる。さらに、合成ポリマーであるホスホリルコリン極性基を導入したリン脂質ポリマーについての概略を説明する。このポリマーは、生体膜構成成分、ホスホリルコリン基の高い吸保湿性の発揮だけではなく、重合した疎水基が細胞に対する活性剤の刺激緩和、自己会合体の調整等を有する。 次に、防腐剤フリーまでの処方設計については、化粧品で使用される防腐剤の種類や特性などについて基本的な解説をする。現状では防腐剤を使用しなくとも、活性剤や低級アルコール等で化粧品の防腐は可能となっているが、官能評価を無視できないために、既存の防腐剤に頼る傾向にある。本講では最近の化粧品業界における防腐剤事情を認識して頂き、防腐剤無添加を取り巻く諸問題と最近の防腐効果素材、あるいはそれらの処方中における使用方法を述べる。パラベンフリー・防腐剤フリーはどうすれば実現できるのか、既存の処方情報の中からそのヒントを探る。