2017年2月23日「光学用透明樹脂の基礎、屈折率制御および光吸収・散乱メカニズムと高透明化」
透明樹脂が、ディスプレイ用光学フィルム、光ディスク、光学レンズ、光ファイバー、タッチパネルなど各種光学部材に用いられている。さらに、次世代照明、フレキシブルディスプレイなど次世代光技術の実用化においても、透明樹脂の果たす役割は大きい。各種光学部材の機能を高め、次世代技術を実用化させるには、屈折率制御、複屈折制御、高透明化などポリマーの光学特性を高性能化する必要がある。
本セミナーでは、光技術分野へ透明樹脂を応用する際、重要となる光学特性 (透明性、屈折率、複屈折) について、高分子構造と関係づけて定量的に解説し、理想的な光学特性を実現するにはどのようにして構造を制御し、どのような分子設計を行ったらよいのかについて理解していただく。
- 第1講 透明樹脂の基礎
- 透明になるポリマーとは?
- 非晶構造とガラス状態
- 第2講 屈折率制御と低複屈折化
- 屈折率制御
- 屈折率と分子構造
- 屈折率の波長依存性
- 屈折率の温度依存性
- 屈折率の制御、高屈折率化
- 透明ポリマーの屈折率予測システム
- 低複屈折化
- 複屈折と屈折率楕円体
- 配向複屈折
- 応力複屈折
- 複屈折の低減化
- 第3講 光吸収・散乱メカニズムと高透明化
- 光吸収損失
- 電子遷移吸収
- 原子振動吸収
- ポリマーの分子構造と光吸収損失
- 光吸収損失の低減化
- 光散乱損失
- 光散乱法による高次構造解析
- 屈折率不均一構造と光散乱損失
- 高透明化のための高次構造制御
- ポリマーの分子構造と光散乱損失
- 光散乱損失の低減化
- 高透明化
- 高透明ポリマーに要求される分子特性
- 高透明化のための分子設計
- 透明ポリマーの透明性予測システム
- 第4講 透明ポリマーのエイジング
- ガラス状態とガラス転移温度
- 高分子ガラスの物理的エイジング
- エイジングによる光学特性変化
- 光学特性の安定性・信頼性
2017年3月24日「光学透明樹脂のさらなる高屈折率化と機能性向上」
第1部:樹脂における光学特性の基礎と屈折率制御
(2017年3月24日 10:30〜12:10)
PMMA、PCや環状ポリオレフィン樹脂 (COP、COC) などの透明樹脂はプラスチックレンズ、液晶ディスプレイ、光ディスク、光ファイバーなど包装、光学、光通信分野で広く使われている。また、光学機器のデジタル化の急速な進展により、高屈折率、高アッベ数、低複屈折などより高い特性をもった高機能な光学材料が求められている。
本講座では、高機能透明材料開発のための透明樹脂の概要、分子設計や反射、吸収、散乱、屈折、複屈折、光学散乱などの光学特性の基礎および透明性、高屈折率化や低複屈折化など高機能化のための特性制御技術について実務に適した内容で分かりやすく解説する。
- 透明樹脂の概要
- 透明樹脂の分子設計
- 透明樹脂の概要 (合成法と特性)
- アクリル樹脂 (PMMA)
- ポリカードネート (PC)
- 環状ポリオレフィン樹脂 (COP、COC)
- 耐熱・光学特性の制御
- 耐熱性とは?
- 耐熱樹脂の分子設計
- 光の透過性
(光の3要素 (反射、吸収、散乱) )
- 光散乱損失と光吸収損失
- 透明樹脂の分子設計
- 樹脂の透明性改良方法
- 高透明化
- 複合材料の透明性
- 分散特性 (アッベ数とヘイズ値)
- 屈折率の制御
- 分子構造による屈折率の制御
- 屈折率と分子構造・環境因子
- 高屈折率化
- 屈折率の温度依存性、
- 無機フィラー複合化による屈折率の制御
- 微粒子の種類と屈折率
- 複合材料の屈折率
- 複屈折の制御
- 複屈折とは?
- 固有複屈折率と分子構造
- 複屈折率と分極率の関係
- 配向複屈折と応力複屈折
- 成形加工 (加工法・成形条件) の影響
- 低複屈折率化 (ゼロ複屈折)
- ランダム共重合法
- 異方性低分子ドープ法
- 複屈折性結晶ドープ法
第2部:光学樹脂の高耐熱性・低吸水性・透明性向上
(2017年3月24日 13:00〜14:40)
光と電子・電気が融合した”オプトエレクトロニクス”技術は情報産業を支える重要な技術である。その中で光学特性に優れた高機能透明樹脂が光学部品として多く利用され、近年、研究・開発の要求がますます高まっている。
本講演では、高機能透明樹脂の研究・開発で、とくにガラス代替に向けた高耐熱性、低吸水性および透明性の向上について焦点を当て、代表的な高分子合成およびその周辺技術を紹介する。
- はじめに 高機能透明樹脂について
- 高機能透明樹脂の種類
- 製品化されている高機能透明樹脂
- 高機能透明樹脂の応用例 (身近な製品を例にあげて)
- 高機能透明樹脂の特徴
- 高機能透明樹脂の設計
- 高機能透明樹脂の合成
- 国内企業の技術を例にあげて
- 国内研究機関の技術を例にあげて
- 高機能透明樹脂の課題と解決技術
- まとめと展望
第3部:有機無機ハイブリッド技術による光学材料特性と高屈折材料への応用展開
(2017年3月24日 14:50〜16:30)
有機無機ハイブリッド技術を適用した光学材料、特に高屈折材料応用について述べる。最初に有機無機ハイブリッド技術、材料の概要を説明し、光学材料応用について議論する。
ナノ分散系における光学材料設計の考え方とその重要性、必要なナノ粒子形成について述べた後、ハイブリッド化による屈折率制御について述べる。
- 有機無機ハイブリッド材料
- 有機 – 無機ハイブリッド材料とは
- 有機 – 無機ハイブリッド材料の研究ステージ
- ゾル – ゲルベースの溶液反応の適用
- 熱硬化・光硬化反応の適用
- 熱可塑性有機 – 無機ハイブリッド材料
- ゾル – ゲル・ハイブリッド技術による光学材料
- 有機 – 無機ハイブリッド材料の光学材料応用の考え方
- 透明性維持のための必要条件
- ハイブリッド形成プロセスと出口設計
- ナノ粒子 (クラスター) 合成の考え方
- ゾル – ゲル法をベースとした粒子形成
- ビルドアッププロセスによる表面修飾ナノ粒子形成
- 屈折率制御
- 低屈折率材料
- 高屈折率材料
- Nb2O5ハイブリッドの作製とその特徴
- TiO2ハイブリッドの作製と光学特性
- ZrO2ハイブリッドの作製と光学特性