FDAでは、2002年8月から、「21世紀に向けた医薬品GMP-リスクに基づくアプローチ」による新たな取り組みの中で、無菌製剤ガイダンスの最終版が2004年9月に発行された。 一方、EUでは、2003年9月に、改訂されたEU-GMP Annex1が発効したが、2008年2月15日に修正版が出て、さらに2008年11月に一部訂正版が出された。 日本の厚生労働省からは、2009年7月から、EU Annex 1改訂版に合わせて、無菌操作法による無菌医薬品製造指針改正版が2011年3月に事務連絡として発出され、また2012年11月に「最終滅菌法の指針改訂版」が出された。 このような状況を踏まえ、日米EU三極の生物製剤を含む無菌医薬品製造に関するGMPや指針に基づく議論が進められているが、厚生労働省は2014年7月からPIC/Sの正式メンバーとして国際的査察の体制をとってきている。 PIC/Sにおける査察で特に求められる可能性があるのは、科学的論拠による製造環境の常時モニタリングの実施であろう。 特にクリーンルーム環境における空調システムでは、アラート・アクションの明確な設定と管理であり、本講座では、FDAやUSPの考え方、PIC/S GMPなどの共通性に注目し、その内容を踏まえた課題に焦点化して解説する。