第1部 非鉛圧電材料のハイパワー特性評価について
- 水熱合成粉末を用いたニオブ酸カリウム系圧電材料を例にして -
(2017年2月22日 10:30〜12:10)
圧電応用デバイスには、大きく二つに分類できる。
その一つは直流的な圧電効果を用いるもので、より大きな圧電定数、電気機械結合係数が求められる (ソフト系) 。
もう一方は、共振を利用した超音波モータや、ハイパワー振動子、HIFUなどになるが、この場合には限界振動速度が一つの大きな指標になる。
従って、たとえ低電圧で計測した圧電定数やQ値が高くても、例えばPZTでは、きわめて低い応力によって非線形性が生じてしまう。
今までの非鉛圧電材料開発では、ソフト系に注目があてられていたように思われるが、 この講演では、ハード系材料の定量的な評価方法を示すと共に、今後の材料開発に向けた指針を紹介する。
- 圧電振動子のモデル化
- 圧電縦効果の等価回路に現れる – Cdは何を意味しているのでしょうか?
- バースト法による非線形性評価
- d33メータや共振反共振法ではハイパワー特性評価は不十分です
- ハイパワーで振動させたときに何が起こるのか
- 電界、応力によって、どのパラメータに非線形性が表れるのでしょうか?
制動容量でしょうか? 力係数でしょうか?
- PZTのハイパワー特性
- 線形範囲しか扱えない圧電方程式がすぐに破綻することが示されます
- 水熱合成粉末を用いたハード系ニオブ酸カリウム系材料のハイパワー特性
- 水熱合成粉末は安定していますので、焼結セラミックの水への溶解などは皆無です
PZTとの比較を行った結果を示します
- 温度分布を含めたモデリング
- 今後の展望
第2部 非鉛圧電材料の開発と圧電性能向上に向けた取り組み
(2017年2月22日 12:50〜14:35)
PZTを超える圧電特性を非鉛系セラミックスで実現する、つい最近まで夢物語で絶対に無理だと考えられてきたこの定説が今覆されようとしている。
そこで、この講演ではPZTの高い圧電特性の起源である微構造を説明し、その上でPZTの圧電特性を超える理想的な微構造を提案し、それを実現する手法を説明する。
- 背景
- 圧電応用
- 材料
- 問題点
- 解決策
- PZTの秘密
- 発見の歴史
- 相図
- 結晶構造
- 微構造
- ドメイン構造
- 分極回転機構
- 組成相境界 (MPB)
- ナノドメインとマクロドメイン
- 複合ドメイン構造
- ドメインエンジニアリング
- ドメイン構造
- 巨大圧電特性の発見
- エンジニアード・ドメイン構造
- 巨大圧電特性の起源
- ドメイン壁の秘密
- Chargedドメイン壁と中性ドメイン壁
- 理想的なエンジニアード・ドメイン構造
- ナノドメイン構造への道
- PZTを超える複合ドメイン構造の提案
- ナノドメインエンジニアリングの提案
- ナノドメイン導入のための指針
- 鉛系単結晶材料におけるナノドメイン導入の実績
- 非鉛系圧電材料への展開
- その実現
- ナノドメイン構造から複合ドメイン構造へ
- 非鉛系材料を用いた複合ドメイン構造における巨大圧電特性の発現
- 問題点と解決すべき課題
- 今後の方針
- 非鉛圧電材料におけるナノドメインエンジニアリングの展開
- 設計指針
- その実現への道
- まとめ
第3部 ビスマス系ペロブスカイト化合物に基づく高温用非鉛圧電セラミックスの開発
(2017年2月22日 14:50〜16:30)
ディーゼルエンジンの燃料インジェクタ用アクチュエータに代表されるように、300℃程度 までの高温で用いることのできる非鉛圧電セラミックスの開発が求められています。
本講演では、高温用の圧電材料として注目されているビスマス系ペロブスカイト化合物に関して、国内外の最新の研究開発動向を解説すると共に、講演者らの最近の研究成果を紹介します。
- 圧電セラミックスの高温用途と物性
- 高温アクチュエータ応用
- 分極構造と圧電特性
- キュリー温度と脱分極温度
- ビスマス系非鉛圧電セラミックスに関する研究開発動向
- ビスマス系ペロブスカイト化合物の概要
- BiFeO3系材料
- (Bi1/2Na1/2) TiO3および (Bi1/2K1/2) TiO3系材料
- 微細構造と格子欠陥の制御によるBiFeO3系固溶体セラミックスの特性向上
- グレインサイズ効果
- 添加物効果
- (Bi1/2K1/2) TiO3セラミックスの作製と基礎物性の解明
- 粉体の合成と焼結
- 相転移および脱分極挙動
- 元素置換による圧電特性の向上の試み