体内に直接投与する注射剤は、患者の生命に大きく関与するため、医薬品の中でも特に高い品質が要求される。その為、異物混入や外観不良があるとクレームとなり、重篤な場合は回収となることもある。そのようなトラブルを回避するためにも検査工程は重要な位置づけにある。 しかし、検査基準は公定書に明確に記載されておらず、各社での設定が必要となる。また、検査員の育成は最重要課題であり、検査レベルを維持するために適切な教育及び認定制度の確立が必須である。高い検査レベルを要求すると検査員を確保することが困難となる。一方、低いレベルでは、検査員の確保は楽になるが異物を見逃す可能性が高くなる。コスト及びリスクを最小限に抑えるためには、適度なバランスでの運用が大切である。 本セミナーでは、受託製造業者として様々な委託企業から監査を受け、それに対応してきた経験に基づき、異物の評価基準及び検査員の教育方法について説明する。また、よくある異物の原因を提示し、それら異物を特定するための調査方法の概要について解説する。また、異物の低減・混入防止に関する方策について具体事例を挙げながら、どのように対応していけばよいのか提唱する。更に海外製造所への委託時において、価値観の相違によって発生するトラブルはどのようなものか、また、その改善策について説明する。 注射剤を製造する企業は、異物に対して様々な悩みを抱えていると思う。その悩みを解決するための糸口として、大いに利用できるセミナーとなろう。
注射剤のクレームで最も多い異物や外観不良について、クレーム対応として原因調査などで悩まれている品質部門の方々、また、現場でどのようにすれば異物を低減することができるのか悩まれている製造部門や開発部門の方々に対して、その悩みを解消するためのきっかけとして頂き、医薬品の品質向上に少しでも寄与できればと考えている。 我々が受託製造企業として培ってきた知識及び確立した運用方法について具体的に事例を挙げながら、製造メーカーとしてどのように検査レベルを維持していく必要があるのか提唱する。