これまでモノづくりを支える源泉は、現場のカイゼン活動や技能といった現場力だと認識されてきましたが、より一層の競争力を求めるにはより上流の取り組み、すなわち設計力の増強が不可欠である。
本セミナーでは、モノづくりの競争力に大きく寄与する設計力について、いかにそれが決定的な意義をもち、具体的にどんな知識や力が必要になるか、そしてそれらを効果的に活かす開発設計の仕組みをどう構築するかを大手自動車部品メーカの例を数多く具体的に紹介しながらわかりやすく解説する。
- 自動車部品の品質
~自動車部品の品質上の重要ポイントを解説~
- 車載品質 – 過酷な環境と高信頼性
- 車の耐用年数と設計保証目標値
- 品質不具合と損失
- 製造要因と設計要因
- 設計目標値を決めるということ
~品質・コストの80%を決める設計目標値の役割について解説~
- 商品仕様と製品仕様
- 顧客商品仕様を抜けなく把握し、社内の必要十分な製品仕様へ落とし込む
- 設計目標値の見える化 – 競合に優る目標値を設定するには
- 品質・コストの80%はここで決定される
- 従って、フロントローディングが大切
- コストへの設計の寄与は非常に大
- つの設計力とは
~設計目標値を120%品質で達成する設計の取り組みについて解説~
- 先行開発段階の設計力と量産設計段階の設計力
- 産設計段階では製品をより良くしているのではない
- 設計力を構成する7つの要素
- 設計目標値/設計の手順/技術知見ノウハウ・設計ツール・人組織/判断基準/議論・審議/設計風土・土壌
- 設計者・設計職場が学び備えるべきものの詳細
- 儲ける設計者は技術屋であるとともにハイパーエンジニア
- 避けることが出来ない設計の普遍的な課題
~設計に起因する不具合がなぜなくならないのかを解説~
- 自然はだませない – 母なる自然は意地悪だ、いつも隠れた欠陥に味方する
- なぜなら、モノづくりとは自然を掘り出し加工すること
- 特に設計は自然が相手
- 自然にはイレギュラーはない、理論に基づいたイレギュラーがあるのみ
従って、設計には‘まあまあ’という文字はない
- すなわち、設計者は図面に書いた内容は全て理論で説明、試験実験で
定量的に検証出来なければならない。
– しかし、出来ないので品質不具合が起こる。
CADの前に座るまでが勝負、そのためには設計力。
- 品質の99%は未だ5合目 – 日本の4年はアジアでは半年
- 開発課題100項目の内残された1~2項目を詰めるのに開発エネルギーの
- %を使うと言ってもあながち言い過ぎではない。
- 残された課題を正面突破か安易な迂回路を取るかが、市場評価の分かれ道。
そのため、開発設計部署は不夜城。
- 更には、開発課題が残っていることに気づかず100%達成と思い込むケースも多い。
課題への気づきがないと開発期間も‘極端に短く’なってしまうことも起こる。
開発の残存課題に気づくためにも、気づいてからの取り組みのためにも設計力。
- 設計力の具体的な活用例 – 工夫された設計プロセス
~設計力の中の重要な要素となる工夫された設計プロセス実例を踏まえて解説~
- 車両メーカ、一次サプライヤー、N次サプライヤーの開発設計関係
- 量産設計段階のコンカレント活動。
– 設計が主導し、品質・コストに責任を持つ
- 工夫された40以上のステップから構成された設計プロセス
– 3階層グループから構成
- 製品の重要度で異なる設計プロセス
- コスト目標値を達成するには
~ダントツのコスト・性能達成 – 実例を踏まえて解説~
- 競合に勝つコスト設定方法と取り組み
- 競合に勝つ性能、品質設定方法と取り組み
- 製品の新規性と設計力
~製品の開発レベルにより必要な設計力は異なることを解説~
- 儲かる製品は常に進化する – 革新的製品・類似製品・次期型製品・次世代製品
- 製品の新規性により設計力は異なる
- 類似製品でも必要な多くの設計力とは
- 設計力を伸ばす
~設計力を伸ばすポイントを解説~
- 7つの設計力仕組みを順次揃える – まずは出来るところからやり始める
- しかし、設計力の仕組みを造るだけでは意味がない – 気を付けなければいけないこと
- やったと言う実績作りを目的にしない
- 形式ではなく、内容と質の充実が大切
- デザインレビューを行うと品質不具合が無くなると勘違いしていないか
- 担当設計者が準備すべき技術資料とそのポイント – 膨大な資料を用意しても不十分
- 参加メンバーの工夫 – 要素技術などの専門家を揃えることが出来ない場合の進め方
- レビューの進め方 – 議論と審議の区別、参加者は全員が共同責任
- まちがいだらけのFMEA – 品質ツールに使われてはいけない
- FMEAの帳票を埋めるだけでは未然防止は期待できない
- FMEAの効果的な取り組み方
- 過去トラなど技術財産を抜けなく設計に反映するには
- 全社の総知・総力を活かす未然防止活動
- ‘まもるべきWAY’と‘変革のWAY’の両立
- 設計力を伸ばす設計者の取り組み
- 設計力と現場力の相乗効果
- ほどよい緊張感のもと、互いに刺激しあって善循環的スパイラルアップ