(2017年2月6日 10:30〜12:15)
敗血症性DICという概念は、本邦からの研究は多かったものの、世界的な集中治療の分野ではminorな領域であった。ただ、最近再注目をされてきており、その治療薬の登場も期待されている。しかし、現時点では、DICの原因疾患の根本治療以外には、DIC治療に特化した明確に有効性が証明された治療法はないというのが正しい理解であると考えられる。 本邦では、様々な「DIC治療薬」が、実際の臨床現場で使用されている。しかし、これらの薬剤は、本当に患者さんのためになっているのか?その根本的なところから、臨床の疑問を再検討する必要がある。 今後、有効な治療法の開発のために、最適な患者層とアウトカム設定に関して、今までのエビデンスを元に、考察する。
(2017年2月6日 13:00〜14:45)
DICの基礎疾患として、悪性腫瘍は大きな比重を占めるが、造血器悪性腫瘍のうちでは一般に急性白血病でDICが発症しやすい。 原疾患や治療の影響で血小板がもともと少ない病態でのDICの治療が必要となる。 白血病細胞に発現した組織因子 (TF) がDIC発症の主因となるが、サイトカインや化学療法、併発感染症の影響も大きい。 治療は、原疾患の治療と抗凝固療法、支持療法が重要だが、APLにおけるATRA療法のように遺伝子転写レベルでTFなどDIC原因物質発現を抑える、抗腫瘍効果を併せ持つ抗DIC療法も有望である。
(2017年2月6日 15:00〜17:00)
DICとは、様々な基礎疾患に続発して全身の血液凝固系が活性化し、全身の細小血管に血栓が多発すると同時に、血小板や凝固因子が消費されて減少し,出血傾向をもきたす症候群である.本症候群は生命予後を左右する重篤な病態であり、早期に異常を発見し適切な処置を講じる必要がある。 本講座では、DICの病態把握にとくに重要な血液凝固線溶系の基礎知識と検査所見の理解を中心に、DICの概念、病態生理、基礎疾患の臨床所見の概略等について解説する。