抗体医薬品 生産性の高い細胞育種開発

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プログラム

第1部. 抗体医薬品製造用宿主としてのCHO細胞の変異育種

(2017年2月7日 10:00〜11:30)

 現在およそ200品目の抗体医薬品が上市されており、その8割ほどがCHO細胞を宿主として製造されている。抗体医薬品は、複雑な高次構造や翻訳後修飾を伴う上に医薬品としての規格を保つ必要があるため、製造が非常に困難である。  我々は、独自技術である不均衡変異導入法をCHO細胞に適用し、抗体医薬品製造用宿主としてのCHO細胞の育種改良を行っている。CHO細胞ゲノムに突然変異を誘発して作製したライブラリーから、フローサイトメトリーや細胞イメージングによるHTSシステムによって有用変異体を選抜する手法を確立してきた。  実際に生産性・安定性・増殖性に優れた高機能化宿主細胞株を開発し、国内外の製薬企業に提供している。また、マルチグラムオーダーの抗体医薬品製造用セルバンクの短期間構築系も併せて完成している。  これら具体的な事例を示しつつ、変異育種による高機能化CHO細胞の開発の現状について議論したい。

第2部. 抗体分泌能の高い細胞を迅速選抜する1細胞育種技術について

 本講演では、我々が独自開発し商品化した「全自動1細胞解析単離装置」の紹介、同装置でないと実現できない1細胞単位での細胞育種技術 (1細胞育種技術) 、そして同装置を駆使した1細胞解析関連技術を紹介する。  特に、抗体分泌細胞に対する1細胞育種技術は、候補細胞群 (ライブラリー) から、コロニー形成を経ずに抗体分泌能が高い細胞を迅速同定・単離するものであり、期間・コスト・手間において従来法より格段に効率化できる。

(参考) 最近の総説:Single-cell-based breeding: Rational strategy for the establishment of cell lines from a single cell with the most favorable properties. Yoshimoto N., and Kuroda, S. J. Biosci. Bioeng. 117 (2014) 394-400.

  1. 全自動1細胞解析単離装置の開発経緯
  2. 全自動1細胞解析単離装置とFACSとの比較
    1. コロニー育種 (従来技術) と1細胞育種 (新技術)
  3. ハイブリドーマを用いた1細胞育種
  4. CHO細胞を用いた1細胞育種
    1. 細胞育種の課題
  5. 全自動1細胞解析単離装置の創薬分野への応用1 (ES細胞の1細胞育種)
  6. 全自動1細胞解析単離装置の創薬分野への応用2 (de novoアゴニスト創薬)
  7. 全自動1細胞解析単離装置の創薬分野への応用3 (既知リガンドから受容体同定)
  8. まとめ

第3部. 抗体等バイオ医薬品を生産するトランスジェニックニワトリ作製技術の開発

(2017年2月7日 14:00〜15:30)

 抗体医薬に代表されるバイオ医薬品は遺伝子組換えされたチャイニーズハムスター卵巣 (CHO) 細胞などの細胞培養によって生産されているが、細胞培養にかわるバイオ医薬品生産のためのプラットフォームの開発が望まれている。  近年、バイオ医薬品生産にトランスジェニック動植物による生体バイオリアクターが検討され、哺乳動物乳汁中に生産させるシステムでは実用化例もみられるようになってきている。  さらに安価に生産するシステムとして、ニワトリの卵への生産が1990年代より検討されており、2015年にウォルマン病治療薬としてトランスジェニックニワトリにより生産されたsebelipase alpha (Kanuma) がFDAにより認可され、今後の生産品目の拡大が期待されている。  本講演では、演者らは開発してきたバイオ医薬品を生産するトランスジェニックニワトリ作製技術について解説する。

第4部. CHO細胞培養過程における抗体の凝集抑制

(2017年2月7日 15:45〜17:15)

 CHO細胞は蛋白質医薬品生産において生産宿主として多用されている工業用動物細胞であり、そのバイオプロセスは特に抗体医薬品生産におけるde fact standardの地位を確立している。  その中でバイオプロセスにおける凝集抑制は重要な課題であり、蛋白質生産細胞の培養・精製・製剤化といった各製造プロセスにて凝集抑制・凝集体除去に関する様々なアプローチが試みられている。  しかしながらこと培養プロセスにおける抑制に関しては、有効な方法が確立されていない。  細胞培養中に抗体は、培養温度・培地pHなどがストレス要因となり凝集を引き起こすと考えられている一方で、凝集形成機構に不明な点が多く、また、これらの培養パラメーターは分泌抗体の生産効率を優先してコントロールされている。  したがって、細胞培養プロセスにおける凝集抑制の問題に取り組むには、凝集形成機構を明らかにすると同時に凝集抑制効果と細胞の生産効率の両立をさせる必要がある。  “ケミカルシャペロン”の培地中への添加は、蛋白質凝集の抑制を図るユニークな試みである。  我々は二糖類であるトレハロースに着目し、トレハロース含有培地と用いて蛋白質凝集抑制効果を検討してきた。  講演では、トレハロースを細胞培養に適用してきた結果を中心に、細胞培養中の凝集形成機構や細胞構築の観点から凝集抑制を行う試みについて紹介する。

会場

株式会社 技術情報協会
141-0031 東京都 品川区 西五反田2-29-5
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