これまで、固体表面のはっ水性/はつ油性は、静的な接触角の大小で評価されることが一般的であった。しかし、静的な接触角の値が同じでも、表面状態によって液滴は異なった動的挙動を示す。
本セミナーでは、固体表面の濡れ性をいかに制御し、どう評価するかについての基礎知識の修得を目指すとともに、演者らが取り組んでいる動的濡れ性制御技術や、それを利用して作製したはっ水性/はつ油性表面について、実例を挙げながら分かりやすく詳細に解説する。
- はじめに
- Youngの式 (濡れの基本式)
- CassieとWenzelの式 (凹凸表面、複合表面における濡れ)
- CassieとWenzelの式は本当に正しいのか?
- 既存理論を否定する研究事例
- 相接触線の重要性
- 静的接触角について
- 動的濡れ性について
- 動的濡れ性とは?
- 動的濡れ性制御の重要性
- 動的接触角と測定方法
- 接触角ヒステリシスとは?
- 接触角ヒステリシス制御に関する過去の研究
- 接触角ヒステリシスを抑制するためのコンセプト
- 接触角ヒステリシスと滑落性の関係
- 最近の超はっ水/超はつ油処理の研究動向
- 超はっ水処理の最近の研究動
- 超はつ油処理の最近の研究動向
- 有機フッ素化合物を利用しない新しい表面処理
- 特殊構造有機シラン単分子を利用した表面処理
- PDMSポリマーブラシを利用した表面処理
- 有機/無機ハイブリッド皮膜を利用したコーティング技術
- 耐熱性に優れたはつ油性皮膜
- 温度応答型オルガノゲル
- 現在の開発状況と今後の課題
- 質疑応答