第1部. リアルワールドデータを用いた医薬品市場のモデル化と患者数の推定
(2017年1月17日 10:00〜12:00)
「ビッグデータ」、「データサイエンス」、「統計学」などの言葉が一般に話題に上るようになって久しいが、医療の世界も例外ではなく、日本では国民皆保険制度の下レセプト情報を中心にその利活用が進んでいる。その一方、カルテなど診療記録は、数十施設単位で集積されたデータベースが散在している状況である。
個々のデータベースは有益な情報を与えてくれるが、それぞれに情報の粒度やカバレッジは限定的である。したがって各種のリサーチクエスチョンに対して明快な回答を得るためには、これらを組合わせてモデル化し解析するデータサイエンスの技術が鍵となる。
本講座では、RWDの現状と課題を体系的に明らかにするとともに、医薬品の価値の最大化に向けた解析手法について学ぶ。
- 日本のリアルワールドデータ (RWD)
- 医療ビッグデータとRWDの集積状況
- 製薬会社などが活用している民間医療情報データベース
- RWDで確認できる項目と特徴
- リアルワールドデータを使った医薬品の開発とマーケティング
- RWDに基づく医薬品市場のモデル化
- RWDを使った解析事例
- 患者数の推定
- データ解析に必要な要素技術と注意事項
- リアルワールドデータの限界と課題
- 既存のRWDからは取りにくい情報
- リアルワールドデータRWDの利活用の課題
- 医療はリアルワールドデータRWDからビッグデータの時代へ
第2部. リアルワールドデータを用いたアウトカムリサーチ
(2017年1月17日 12:45〜14:45)
日本でもレセプトデータ等のリアルワールドデータによる実臨床に基づいた患者の治療実態が把握可能となり、患者さん中心の医療からも患者アウトカムの情報がますます重要となりつつある。
本講演では、これらのデータを活用した臨床および経済的なアウトカムのエビデンス創出やメッセージ化を研究事例と共に解説を行う。
また、医療技術評価 (HTA) に活用可能なリアルワールドによるアウトカムも概説する。
- 臨床・経済アウトカムによるキーメッセージ
- ギャップとアンメットニーズ
- HEORの観点からの効果的なメッセージ創出と情報提供
- リアルワールドデータ
- リアルワールドデータとは
- リアルワールドデータの種類
- 利点・留意点
- リアルワールドデータの活用事例
- 治療実態
- 臨床・経済的アウトカム
- 安全性評価
- 医療技術評価への応用
- リアルワールドデータによるHTAのためのアウトカム
第3部. リアルワールドデータによるリスクシグナルおよび新規薬効シグナルの検出
(2017年1月17日 15:00〜17:00)
リアルワールドデータとしての有害事象自発報告データベース、レセプトデータベースおよび処方データベースを用いた医薬品の安全性評価としてのリスクシグナルの検出について解説する。
さらに、その手法を応用した既存医薬品の新規薬効探索研究の可能性について解説する。
- 有害事象自発報告データベースの不均衡分析によるリスクシグナルの検出
- 不均衡分析のアルゴリズム
- 各国の有害事象自発報告データベース
- 研究事例
- レセプトデータベースおよび処方データベースのSymmetry analysisによるリスクシグナルの検出
- Symmetry analysisのアルゴリズム
- 研究事例
- 異なるデータベース、異なるアルゴリズムを用いたMulti – methodological approachesによるリスクシグナルの評価
- 既存医薬品の新規薬効シグナル探索への応用の可能性
- 理論的背景
- 研究事例