粒子が分散した材料 (以下、分散系材料) は、導電剤、電池、セラミックス、機能性コーティング、塗料、インキ、など様々な分野で利用されているが、「ポテポテで流動性が無い。」、「うまく塗れない。」、「時間が経つと沈降したり、粘度が増加したりする。」、「粒子そのものは小さいはずだが、スラリー中でなかなか小さくできない。」などの問題に直面するケースが多い。 本講座では、上記の諸問題が生じ難い実用的な分散レシピを設計するにあたり必要となる、粒子を微粒化し、分散安定するための基本的な考え方、粒子と分散剤 (高分子) と溶剤の最適な組み合わせ方、親和性を定量的に考えるための評価尺度などを平易に解説する。
粒子を含む材料はますます開発が加速している。従来のコーティング液をはじめとして、電池やフィルムなどの非常に薄い膜を形成するもの。また自動車用のプラステックや風力発電のブレードなどのような大きなものまで、マトリクス中へのフィラーやナノ粒子の分散にかかわる技術分野は広い。ここでは基本的な分散安定化の考え方と、実際の処方例を通じて分散剤の選定の着目点を紹介する。
近年、エレクトロニクスメーカー等によって製品化されている多くの商品は、磁性材料、液晶、有機EL、太陽電池、燃料電池、二次電池等、いずれもスラリーを経由するプロセスが多用されている。しかし、プロセスで活用される高濃度スラリーは粒子濃度が高い故に光をプローブとする従来法が適用できず、十分な評価が行われて来なかった。 本講では、分散性・分散安定性の定義など基礎的事項の説明だけでなく、実用プロセスで重要なスラリー特性とその評価方法について、できるだけ専門用語を用いずに解説する。さらに、分散性制御に必須の評価項目として粒子表面の特性評価法、とくに親・疎水性評価法について最近開発した実用的手法を紹介する。非水系溶媒に粒子を分散する工程でお困りの方、粒子表面の親・疎水性評価、粒子の溶媒への親和性評価を行いたくても適当な手法がなくて諦めておられた方に聴講して頂ければ幸いです。