近年、我が国においても臨床データの改ざんや製造記録書のねつ造など「データインテグリティ」に関する問題が多発している。しかし、この問題は悪意によるものだけではなく、手入力や作業ミスによるデータの間違いや欠落、システムトラブルによるデータ喪失など、日常的に起こりうる問題でもある。各国から相次いで「データインテグリティ」に関するガイダンスが発行されていることを見ても、この問題の根深さを物語っている。
2016年8月にはついにPIC/Sからもガイダンスが発行された。このガイダンスの作成には日本の当局も参加しており、今後の我が国の査察時に確認される可能性が高いと考えられる。
本セミナーでは、MHRA、WHO、FDA、そしてPIC/S等のガイダンスや日本の動向などデータインテグリティに関する最新情報と規制当局の要件や指摘事項を参考にしながら、その対応方法を提案する。
また、時間の許す限りデータインテグリティを担保するCSVやERESの取組みも要点を絞って解説する。
- データインテグリティとは – その定義と考え方
- MHRA (英国規制当局) ガイダンス
「GMP Data Integrity Definitions and Guidance for Industry March 2015」の解説とのそのポイント
- データ・クリティカリティ (重要度) と完全性の固有リスクとその特定
- データの品質と完全性を保証できるシステム設計
- データの完全性に関する用語の定義とその解説
- WHO “GUIDANCE ON GOOD DATA AND RECORD MANAGEMENT PRACTICES” に見るデータインテグリティの要件とその考え方
- 品質リスクマネジメントとデータインテグリティ
- データ管理に関するガバナンスと品質監査
- 外部セキュリティー保護策
- サプライヤーおよびサービスプロバイダとデータ管理
- 担当者のトレーニング
- FDA “Data Integrity and Compliance With CGMP Guidance for Industry CGMP” ガイダンスの要点と解説
- どのようなときに意思決定からCGMPデータを除外することが許容されますか?
- コンピュータシステム上の各ワークフローをバリデートする必要がありますか?
- CGMPのコンピュータシステムへのアクセスをどのように制限する必要がありますか?
- なぜFDAはコンピュータシステム用の共有ログインアカウントの使用を懸念しているのですか?
- ブランクフォームをどのように管理する必要がありますか?
- 監査証跡はどの程度の頻度でレビューされるべきですか?
- 誰が監査証跡をレビューすべきですか?
- 電子コピーは、紙や電子記録の正確な複製として使用することはできますか?
- FT – IR装置などのスタンドアロンコンピュータ化試験装置のオリジナルの電子記録の代わりに、紙印字や静的記録 (static records) を保持することは許容されますか?
- (以下18章まで)
- 【緊急追加】PIC/Sデータインテグリティガイダンス “GOOD PRACTICES FOR DATA MANAGEMENT AND INTEGRITY IN REGULATED GMP/GDP ENVIRONMENTS” の要点の解説
- PDAアイルランドチャプターにおけるデータインテグリティの取り組み
- 規制の枠組みとデータインテグリティ
- 標準規格とデータインテグリティ
- HPRA (アイルランド規制庁) から見たデータインテグリティ
- データの整合性とは何か
- 査察における重要ポインント
- サンプルの不備
- FDA警告文書に見るデータインテグリティ関連指摘事項とその対策
- データインテグリティに関する日本国内の動向
- データインテグリティを担保するCSVとERESへの対応ポイント
- データインテグリティの傾向とその対策