塗料の水系化、UV化や高固形分化は、環境に適応する材料開発として有益である半面、ワキや泡立ちを起こし、また表面張力が増すため被塗物への濡れが足らず、クレーターやハジキ、ピンホールといった特有の問題が生じます。こうした問題の解決のため重要な役割を果たす、添加剤の基本的な化学構造や用途改善の事例を紹介します。不具合の発生メカニズムを考察し、求める性能をコーティング剤の配合設計に反映することで、コーティングプロセス、フィルム形成において生じる問題に対処します。
本講座にて添加剤の種類、役割、機能などの知識や情報と共に、コーティング工程での問題を分かりやすく説明いたします。
- 第1部「液状コーティング材の表面張力低減と表面調整」
- 塗料・インキ用途向け有機変性シロキサン添加剤の概要
- 界面活性剤として
- シリコーンオイル (ジメチルポリシロキサン) について
- 有機変性シリコーン;種類と構造 (化学・模式) および特性
- 濡れに関する問題:シロキサン系基材湿潤剤の製造、構造および特性
- ポリシロキサンの合成と有機変性
- 界面活性剤の表面張力コントロール機能
- 様々な表面張力調整剤の構造
- ポリエーテル変性ポリシロキサン添加剤の構造と表面張力に与える影響
- 基材湿潤剤の化学構造による分類
- 表面張力の動・静的事象と化学構造との関係
- 水中と水系塗料中での挙動と化学構造による差異
- 基材湿潤剤の水溶性と起泡性
- 表面調整剤について
- シリコン系とアクリル系での表面構造改質の違い
(溶剤系2液PU自動車補修用クリアーコートでの単独および併用事例)
- 添加剤の構造と表面特性 (表面張力・構造等) の関係
- 表面調整剤と構造・化学特性について
- 第2部「水系消泡 (TEGO Foamex) と溶剤系ワキ防止・脱泡 (TEGO Airex) 」
- (消泡) 泡の発生と消泡メカ二ズム
- (消泡) 消泡剤の形態と効率的な処方・試験例及び推奨製品の紹介
- (消泡) ポリシロキサン構造と疎水性・相溶性コントロールとクレーターの生成および予防
- (脱泡) マイクロ泡によるワキ現象
- (脱泡) 脱泡メカニズムその1;気泡の成長・上昇による泡抜き
- (脱泡) 脱泡メカニズムその2;ヤングラプラスによる消失
- (脱泡) 脱泡剤の成分と気液配向性、およびレベリング副次効果
- (脱泡) 脱泡剤の選び方 – 塗料極性と相溶性、および製品紹介