まず、英語の辞書で[Market]を引いてほしい。「市場」という名詞の他に、「市場で取引する」「売りに出す」等の動詞としての活用があることが記されている。したがって ing がついた Marketing は「市場で取引を成立させること」といった意味 になる。BtoBに生きる企業に当てはめてもこれは変わらず、企業の生存要件は三つ。
第一に「提供するモノ・コト・サービスにおカネ (=対価) を払ってくれる顧客がいる」
第二に「支払われたおカネ (=売上) はかかったコストより大きい」、
第三に「売上と収益が次の成長が可能となるよう維持・拡大し続けられねばならない」である。
また、「売上=顧客数×取引単価×頻度」という公式からも明らかなように、売上 (利益、成長も) は顧客との関数であり、マーケティングは「顧客を創ること」、そして「維持・拡大し続けること」と言い換えることができる。BtoBとなると、取引先にこの「顧客」を見失いがちではあるが、本講演では、BtoB企業の事例を用いながら、マーケティングへの正しい認識を深めていく。
巷では、マーケティングを事務系スタッフ、イノベーションを技術系エンジニアの仕事と、仕分けしてしまう様子を見受けることも多いが、確かにエンジニアはイノベーションと対峙している。つまりは常に先駆けていくこと、チャレンジングな取組み、これまでにない発見・発明など、内外の先進・先端情報を収集し、それを創り込むことが求められる。そしてそれは技術的な情報だけに終始すべきではない。
本講演では、そんなエンジニアにこそ知っていて欲しい、講師が実体験から見つけ出したBtoB業界でのマーケティング・事業設計の心得を提供する。
- はじめに ~市場が見えない、利益が読めない、整合しない、現行マネジメントの 7 つの命題~
- 笛吹けど、立ち往生してしまっている空気: 明確な「海図・羅針盤」不在
- 克服・解決の道筋: 共有できる「事業の設計図」が定まらない
- 計数 (予実) 管理の陥穽: 延長線方式、双方向性の欠如・ご都合主義
- 根源的な問題: 業務の継続性、成長力の担保は組織改編・人事異動で
- 間違いだらけの「新規取組み」: 単発で終わっている? それでは、やがて風化していく
- 環境分析・評価: 現場との乖離、見える化不徹底では使えない
- 事業戦略策定: 一般論では見えにくい、手段の目的化のループに嵌る
- B to B (産業財) におけるマーケティングとは?
- そもそもマーケティングって? 売れる仕組みづくり/ 市場で取引を成立させる
- B to C/B to Bの相違、次世代ロールモデルはB to B! ~分業・専業モデル → 統合・同期モデルへ~
- B to Bマーケティング ~顧客と取組みを<深><進>化させる~
*マーケティング・マネジメント=ビジネスモデル=儲かる仕組み
- 「儲かる仕組みづくり」には、俯瞰・構造的な「関係性の理解」が要!
- 自社の立ち位置をいかに識別するか? ~ドメイン&コア・コンピタンス~
- 起点は 顧客 (最終需要家) 理解から ~関与者構造の把握~
- 購買意思決定の構造と影響要因の把握
- 【事例】 SIer: 技術シーズ/市場ニーズの捉え方
- 【事例】 電線メーカー: 市場の見える化、
自販機メーカー: 関与者構図の捉え方・パワーシフト
- マーケティング・マネジメントの枠組み・進め方、その評価
- 業務プロセスの可視化 ~R/PDCAサイクル廻ってる?~
- 8 つの分析ツール[60/PEST/5F/SWOT/3C/STP/4P7S]の個々の意味・意義、手順、体系化
- 肝心要の三点セット「事業企画」「セグメント別戦略」「開発営業」シート
- 【事例】 電気メーカー: 技術融合型マーケットでのランクアップ
- 【事例】 半導体メーカー: 強靭なビジネスモデルを検証する
- 目標設定としてのシェアの在り方
- シェア管理、その現実 ~カバレッジって?~
- 顧客シェアという発想転換
- 顧客分布と収益構造 ~パレート法則の?!~
- 【事例】 №1製品の陥る症候群、装備率/装填率、利益貢献度
- R&Dテーマスクリーニングのあるべき姿、具体的手法
- 事業企画シナリオ、技術の進化プロセス ~技術プラットホーム検証~
- 「市場」「技術」「事業」×「ライフサイクル5ステップ」で点検・評価
- 種々 評価方式、配点 ご紹介
- 【事例】 電機メーカー
- 【事例】 化学メーカー
- 【事例】 BMO法