講座主旨
グローバル開発が急速に進む中、J-GCP基準で行われていた国内試験用のSOP、具体的な運用や施設での対応を、ICH-GCP基準に対応すべく、移行する必要がある。
今回のセミナーでは、ICH-GCPとJ-GCP の相違点に着目しながら、依頼者側/施設側が行わなければならない治験原資料の取り扱いや記録の残し方、およびFDA査察の手順や視点、SOP作成に至るまで解説します。
また、依頼者側として、まずICH-GCPをよく理解し、医療機関に対しても、ICH-GCP要求をどのように理解していただき、対応していくべきかについても考えてみたい。
第1部
グローバル開発に対応するためのICH-GCP要求と治験原資料の取り扱い/記録の残し方
(10:30~14:50)
QM Perspective Independent Auditor / QM Consultant 薬学博士 末吉 忍 氏
- J-GCP にないICH-GCP要件への対応
- Laboratory Certificate / Accreditationへの対応は?
- Site Initiation MV Report の写しの施設でのファイル
- FDA Form-1572等、米国IND試験での要件
- 欧米当局が査察で重視すること
- Study Conductの検証
- 試験責任医師の責任の重さ – Delegation & Oversight
- 資格、経験に関する文書
- 実際に行ったことを、どのように記録に残せばよいのか
- J-GCPの定義する原資料では、ICH-GCPの定義するSource Documentsを満たせない
- どれが“Original document” か明確か?
- Delegation of duties log
- ログの概念の理解
- 同意取得プロセスの記録
- なぜ“timely review“の証拠が重要なのか
- なぜカルテシールが問題にされるのか?
- Certified copyはどう残せばよいのか
- Monitoring Visit後の Follow-up Letter
第2部
FDA査察の経験 ~治験事務局支援を行って~
(15:05~16:35)
ノイエス(株) 九州事業部 福岡SMA課 課長 矢野 美幸 氏
SMOとして治験事務局の支援を行っている施設に、2008年FDAの査察があった。FDAからの国内臨床施設への査察はほとんどなく、何かどのように行われるのかも分からない状況からの準備であった。
試験は、J-GCPを遵守したものであったが、米国メーカーがFDAへ申請をした際に日本のデータも提出され、重要な位置づけとして使用されたため、今回、査察を受けることとなった。FDA査察前の準備、実際、結果について報告する。
- FDA査察の背景
- FDA査察のための事前準備
- 対策のMTGの実施
- ON SITE QCの実施
- 必須文書について
- 依頼者による症例のSDVについて
- 必須文書について
- メーカー主催の事前説明会について
- 査察時に準備すること
- 査察時の心構え
- 文書・書類について
- 査察の内容
- 査察官より
- 医療機関より
- SMOより
- J-GCPとICH-GCPの相違点について
- 医療機関より委託されている業務について
- インタビュー
- 治験薬関連
- 治験体制について
- 同意説明文書について
- 症例の確認について
- 治験開始時について
- 治験責任医師との面談
- 有害事象について
- 記録の保存について
- 査察の結果
- まとめ
- 今後について