臨床開発における成功確率向上のため、研究部門はヒト (病態時) の薬効バイオマーカーの創出・検証と有効性の予測が求められる。創薬研究から開発研究へのトランスレーショナルリサーチの流れの中で、薬物動態分野は中心的役割を果たすことが期待され、PK/PD解析モデルをヒトでの動態予測結果と融合させることにより、前臨床試験の結果をヒトでの有効性予測へ繋げる必要がある。
そこで本講座では、トランレーショナルリサーチにおけるヒトPK予測に焦点を当て、創薬段階、前臨床段階そして臨床段階におけるヒトPK予測のコンセプトについて考えてみる。そしてこれまでの企業で実施したバリデーション結果の詳細や注意点、データの収集などについて解説する。
さらに検証業務を通した学会発表や論文作成方法、そして研究員の育成方法についても、これまでの経験を受講者と共有化したいと考えている。
- 代謝研究を担当している若手研究者に対しては、これまでの企業経験を踏まえた動態予測の検証研究の考え方や結果の解説を通して、研究デザイン力の向上を目指す。
- 管理職候補の研究員に対しては、検証研究などを通した組織のサイエンスレベルの向上と業務効率化に対するヒントを与えたい。
- 各試験結果の説明を通して、何を考えて試験系をデザインしたのかなど、背景も含めて説明を行いたい (各項目の後にキーワードを記載)
- 薬物動態研究におけるトランスレーショナルリサーチとは
- 実験条件の検討「バイエル時代の経験を中心に」
- In silicoモデル
- 動態パラメータのin silicoモデル「バイエル時代を中心に」
- 文献情報を整理する「6.2と関連」
- Depletion assay法の利用
- 非線形性体内動態の予測 (キーワード:予想外の結果を受け入れる)
- 遺伝子多型の影響評価 (キーワード:自分の感性を信じてみる)
- ヒトCLの予測
- IVIVE
- 経験則的アプローチ
- アロメトリック法によるCL予測 (キーワード:まずは検討してみる)
- 種々の方法によるCL予測
- IVIVEと経験則的アプローチの精度比較 (キーワード:直感を大切にする)
- ヒトVdssの予測
- 生理的方法と経験則的方法
- 論文情報の整理 (キーワード:先入観を捨て調べる)
- 予測精度の比較
- ヒト血漿中濃度推移の予測
- PBPK法とHybrid PBPK法 (キーワード:自分でも試してみる)
- Dedrick法とHybrid Dedrick法 (キーワード:ひとつのアイデアを広げてみる)
- 予測精度の比較
- Decision treeの検討
- ヒト病態時の動態予測
- 腎疾患時の動態変動の予測 (次の予感)
- 他の疾患の動態変動とは
- 予測データをどのように活用するか
- バイオロジックスのヒト動態予測
- 抗体薬の動態予測
- 核酸薬の動態予測 (まずはデータを集めてみる)
- 今後の薬物動態研究の展望