高分子膜による気体分離は、他のガス分離技術よりも省エネルギー・低コストであるため実用化が求められている。混合ガスから高分子膜によって目的ガスだけを取出すことは現状では不可能である。 しかし、特定のガスを濃縮することは可能であるため、限られた用途であれば実用化することができる。特定ガスを濃縮するには、そのガスを優先的に透過するような高分子設計をする必要がある。例えば、水素の分離にはガラス状ポリマーからなる緻密膜が有効であり、二酸化炭素の分離には二酸化炭素と相互作用する官能基をもつポリマーが有効である。また、効率よくガスと取出すためには薄膜化も重要である。 本セミナーでは気体分離の方法・機構と分離膜素材となる高分子の設計指針、高分子膜の作製法を解説する。