熱可塑性CFRPは、CFRP特有の軽量かつ高強度、耐食性に優れていることに加え、生産性、耐衝撃性さらに再利用性に優れ、今後は輸送機器や産業機器等に大量に採用される可能性が高い先進的な材料であるため近年非常に注目されています。しかし、自動車部材への採用や他の産業機器への用途拡大が期待以上に進んでいないのが現状です。熱可塑性CFRPに未来はあるのか?我が国の強みと弱み何か?どう解決すべきか?
本講座では、CFRPについての基礎的な内容から、熱硬化性CFRPの適用事例として金属とのハイブリッド化の有効な産業機器への用途について紹介し、熱可塑性CFRPの材料や特性、量産化のための様々な製造技術、さらに熱可塑性CFRP特有の融着接合法について、欧州での最新事例と演者らが行った産学連携による研究開発事例を紹介し、今後の熱可塑性CFRPの用途拡大への解決策と自動車産業におけるCFRPの近未来を予測します。
今回は特に欧州での最新事例として、今年3月にパリで開催された世界最大規模の複合材料に関する展示会 (JEC Europe2016) でのトピック、および今年6月にミュンヘンで開催された欧州複合材料学会 (ECCM-17) で発表された最新の研究成果の紹介、さらに今年10月にブレーメンで開催される熱可塑性CFRPの国際会議・展示会 (ITHEC2016) 会議での最新情報をわかりやすく紹介し、欧州でのCFRPの勢いをお届けします。
- 第1講
- CFRPとは?なぜCFRPか?
- 熱硬化性CFRPの適用事例
- マルチマテリアルデザイン化
- 金属とCFRPのハイブリッド化
- インダストリアルCFRP・最近の興味深い熱硬化性CFRPの産業機器への適用事例
- 工作機械フレームや各種産業機器 (スプリング、サスペンション、印刷ロール) など
- 建設機械 (油圧ブレーカー、グラインダー) など
- ロボットワイヤーソー (RWS) によるハニカム・CFRPへの精密切断
- 熱硬化性CFRPと熱可塑性CFRP
- 熱硬化性CFRPの利点と欠点
- 熱可塑性CFRPが注目される理由
- これまでの熱可塑性CFRPとの違い
- 熱可塑性CFRPの用途拡大を阻む理由
- 熱可塑性CFRP材料
- 熱可塑性樹脂の種類
- 熱可塑性CFRP材料の製造方法
- 熱可塑性CFRPに用いた際の特性
- 中間材料の各種製造方法とその長短所
- 第2講
- 熱可塑性CFRPの製造法
- 加熱プレス成形と打ち抜き
- ハイブリッド射出成形
- 自動テープ/ファイバ積層
- 引抜き成形と押出し成形
- Additive Manufacturing
- 熱可塑性CFRPのための加熱方法と各種ヒーターの特徴
- 熱可塑性CFRPの加熱プレス成形の型設計の注意点
- 熱可塑性CFRPのハイブリッド射出成形時の加熱・搬送時の注意点
- 熱可塑性CFRPの融着接合技術
- 熱硬化性と熱可塑性CFRPの接合法の違い
- 熱可塑性CFRPの融着接合法の種類
- 高周波誘導融着接合法の特徴と織物CF/PPS積層板での接合事例
- 超音波式融着接合法の特徴と織物CF/PEEKと一方向CF/Epの接合事例
- 電気式融着接合法の特徴と織物CF/PA66積層板での接合事例
- レーザー融着接合法の特徴
- 熱可塑性CFRPの再利用技術
- 破砕・粉砕方法および刃物の注意点
- 破砕片の混練およびスクリューの表面処理
- 再生材の押出成形および課題
- 再生材の加熱圧縮・加熱プレス成形とその物性
- 第3講
- 欧州での熱可塑性CFRPの最新技術動向
- JEC Europe2016展示会での話題
- 自動車の軽量化への適用事例、鋼板プレス部材との接合とその材料、プリフォーム
- テキスタイルプリフォームからテーラードプリフォームへ
- テーププレイスメント、ファイバプレイスメント、パッチプレイスメント
- 引き抜き材のインサート射出成形による自動車バンパー
- 熱可塑性CFRPの石油・ガス海底パイプとその製造法
- 熱可塑性CFRPのコイルばねと医療用ネジ など
- ECCM-17国際会議での研究事例紹介
- ITHEC2016会議での研究事例紹介 (予定)
- 熱可塑性CFRPの課題と今後のCFRP応用展望
- 熱可塑性CFRPの自動車部材への適用
- 熱可塑性CFRPの産業用機器への展開
- 熱可塑性CFRPの低コスト量産化のための材料と製造技術
- 熱可塑性CFRPを採用するにあたり検討すべきことは何か?
- CFRPの用途拡大に最も重要なことは何か?
- 自動車産業におけるCFRPの近未来予測
- 個別技術相談