自動車内装材の感性・品質価値向上セミナー

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プログラム

毎年多くの方にご参加を頂いている自動車内装セミナーも今年で6回目を迎えます。選ばれる車の魅力あるインテリア空間とは何なのか、という根本から、素材技術やデザイン・感性工学を駆使して、どのように魅力ある製品作りを実現していくべきなのか、その指針や、質感・触感・本物感・加飾・CMFなどの各種技術を知り、感性品質を総合的に引き上げ、付加価値の高い製品開発を行うための2日間です。  1日目は自動車内装だけに関わらず、広く、製品に感性価値を取り入れ向上させるために知っておきたい感性工学の概要を、広い視点で一から学べる構成となっておりますので、感性工学に馴染みのない方にもご受講頂きやすくなっております。また、  2日目はカーインテリアの理想や、実際の自動車メーカー、内装材メーカーにおける取り組み、自動車内装に有望な感性価値向上技術の概要を学び、自動車内装と感性価値に知識を深めます。

1日目 人に魅力ある製品作りのための、感性工学入門

~ユーザ中心設計と感性へのアプローチ~

(2016年10月25日 10:30〜16:30)

 当然のことですが、製品の魅力を高めるには、設計時品質をきちんと作り込むことが重要です。この設計時品質には、品質として頻繁に言及される客観的品質もありますが、感性のような主観的品質もあります。ユーザ中心設計というアプローチは、この両方の品質の向上を目指します。主観的品質は、一般の品質管理の枠組みの上に載せるのは困難ですが、感性という心理作用の特徴を理解し、その評価や計測の手法を活用して魅力づくりに力を注ぐことが重要です。  本講座では、ユーザ中心設計と感性工学という二つの重要なアプローチを解説します。

  1. 製品作りの基本
    1. UXという考え方
    2. UXの評価法
  2. ユーザ中心設計とは
    1. 基本的な考え方
    2. ユーザの多様性
    3. 設計プロセスと開発プロセス
    4. 利用プロセス
    5. ユーザの特性や利用状況を理解する
      1. 既存の人工物についての利用実態の分析
      2. フィールドワーク
      3. 現場における実ユーザに対するインタビュー調査
      4. インタビューデータから情報を得る
    6. ユーザの要求事項を整理する
      1. 目標ユーザという考え方
      2. ペルソナという手法
      3. シナリオやカスタマージャーニーマップという手法
    7. 発想
      1. 拡散的思考と集約的思考
      2. オズボーン法の活用
      3. デザイナとのコラボレーション
    8. デザインによって解決する
      1. 反復的デザインによる収束
      2. プロトタイピング
    9. デザインの適切さを評価する
      1. 多様な評価法
      2. インスペクション
      3. ユーザビリティテスト
    10. 能動的インタフェースと受動的インタフェース
  3. 感性と感性工学
    1. 感性という概念
      1. その歴史的変遷
      2. 多様な定義
      3. 感性工学と感性科学
    2. 感性と認知・感情
      1. 知覚や認知の心理学
      2. 感情の心理学
      3. 感性情報処理と生理学的基礎
    3. 感性の評価・計測
      1. 心理学的手法
      2. 人間工学的手法
      3. 生理学的手法
    4. 感性体験
      1. 多様な体験の表現
      2. 美しさ
      3. 可愛らしさ
    5. 感性とクリエイティビティ
      1. 制約条件とクリエイティビティ
      2. 暗黙知と顕在知
      3. クリエイターの特性
    6. 感性とビジネス
      1. 消費者行動論
      2. 作り手の感性と受け手の感性
      3. 感性の訴求力と持続的魅力
      4. コーポレートイメージとメディアの活用
    7. 感性とこれからの社会
      1. 感性価値創造イニシアティブ
      2. 感性ビジネスと社会

2日目 魅力的な自動車の内装を実現させるデザインと素材技術

~ カーインテリアの理想とそれを支える各種取組み~

2日目 第1部 自動車のインテリアデザインと、それを支える部品・素材の役割について

(2016年10月26日 10:30〜11:50)

 近年、自動車のインテリアデザインは自動運転をはじめとする様々なデバイスの登場により、これまで以上にユーザーの注目度が高くなって来ている。今回はインテリアデザイン開発プロセスと、それを支える部品や素材の役割、今後の動向等について、事例を基に見て行きたい。

  1. 自動車デザインの組織と役割
  2. インテリアデザインとは?
  3. インテリアデザインの構成要素
    • インパネ
    • シート
    • トリム
    • その他
  4. カラーデザインとの関わり
  5. 本物らしさとは?
  6. デザインプロセス
    • スズキハスラー開発事例より
  7. モーターショーに見る最新トレンド
    • 統合デザインと分割デザイン
  8. 今後のインテリアデザイン
    • 自動運転がもたらすモノ

2日目 第2部 自動車内装空間をトータルインテリアとしてとらえたCMF開発

~カラー・マテリアル・フィニッシュの変遷とこれからのビジョン~

(2016年10月26日 12:50〜14:10)

 テキスタイルを中心とした、メーカーの自動車内装素材提案の変遷を通して、1部品・1素材の提案から、最終製品を想定したトータルインテリアコーディネートの視点で、カラー、マテリアル、フィニッシュの開発提案に進化していく過程と、今後の展望について自身の経験を基にお話しします。

  1. 自動車内装材デザイン開発について年代ごとの志向を下記のように大きく捉えます。
    • 1980年代:高級、デザイン志向
    • 1990年代:本物志向
    • 2000年代:合理化、効率化志向
    • 2010年代:トータルインテリア 志向
  2. 年代ごとに素材、工法、デザイン、コーディネートの切り口で時代背景を顧みながら開発内容の変遷を辿り、今後の開発の在り方を考察します。
    • 1980年代
      • 天然素材の採用 … 高級志向 ( 素材)
      • ベロアの触感と色の深み … 高級志向 (工法)
      • カラーMIX手法の全盛 … デザイン志向 (デザイン) etc
    • 1990年代
      • 人工皮革の登場 … 本物志向 (素材)
      • 天然素材の多様化 … 本物志向 (素材)
      • ストレッチクロスの登場 … 造形の一体化志向 (工法) etc
    • 2000年代
      • プリントバリエーションの展開 … 効率化志向 (工法)
      • スウェードタッチ ローコストトリコットの登場 … 効率化志向 (素材、工法)
      • 原糸開発の絞り込み … 効率化 (素材)
      • 加飾表現の多様化 … デザイン志向 (工法) etc
    • 2010年代
      • 合皮の進化と採用拡大 … 合理化志向 (工法)
      • 加飾部位へのシート素材の展開 … コーディネート志向 (デザインコーディネート)
      • 内装材の縫製線、ステッチの意匠化 … コーディネート志向 (工法) etc
    • 最後に2020年に向けたトータルインテリア開発ビジョンをお話しします。
    • 質疑応答・名刺交換

2日目 第3部 自動車メーカーにおける内装材の質感・感性価値向上の取り組み

(2016年10月26日 14:25〜15:45)

 近年、自動車の内装に対するお客様の期待が高まり、質感の向上が自動車メーカーの重要な課題となっている。しかし、質感は人の感覚や感性で感じられるため、具体的な設計仕様として明確にしにくい。そのため、質感のメカニズムの解明と定量化の取り組みが必要となる。本セミナーでは、自動車の内装の見栄え、触感について、感性工学を活用し、評価要素を明確にし、定量的に捉えることで、質感の向上を目指した開発手法を解説する。また、これらの知見に基づいた弊社製品の開発事例を紹介する。

  1. 自動車内装質感向上の取り組み事例
    1. 質感向上の取り組み紹介
    2. 内装質感に関する価値観分析
  2. 内装材の表面質感
    1. 感性工学を用いた表面質感の定量化
    2. 内装色が質感に及ぼす影響
  3. 加飾の質感と機能
    1. 金属加飾の本物感について
    2. 加飾の操作性への貢献
  4. 触感向上の研究事例
    1. ステアリングの触感
    2. 内装材の触感
得られる知識

2日目 第4部 進展する触覚技術が生み出す触感ワールドとモノづくり

(2016年10月26日 16:00~17:20)

 視覚あるいは聴覚と同様に、触覚でもセンサあるいはディスプレイと言った優れた工業製品を生み出すことは、一つの大きな目標である。ここで、できる限り元の触知覚現象に手を加えることなく、簡単な力学的作用で新たな付加価値を生み出すことに多くの関心が寄せられている。  触覚応用のヒントは、研究室内のデザインされた実験環境よりも、身近な触覚の世界に隠れている。特に、ものづくりの現場にヒントが多い。そこには、触知覚に関わる原理が隠れている。触覚の本質は能動触である。皮膚、爪および機械受容器の構造には巧妙な触覚情報処理機構が仕組まれており、その特徴は力学で議論することができる。重要なのは、既成概念を取り払い、一見不可能に思えるが実は可能であるかも知れないと信じることである。本講演では、いくつかの実例を通じて、新しい高触感技術について概観する。

  1. 触覚技術のパラダイムシフト
    1. これまでにないものづくり (不可能を可能に)
    2. 第3の触覚製品
  2. 触覚の増強と触覚コンタクトレンズ (ボディの面歪を瞬時に検知)
    1. メリヤス編みの軍手による皮膚変形
    2. 触覚コンタクトレンズ
  3. 触覚の操作と触覚ネイルチップ (官能評価)
    1. 爪変形が触覚に与える影響
    2. 触覚ネイルチップと指先の応力分布
  4. 触感の生成とソフトフィール硬質面 (内装部品に新たな付加価値)
    1. 触覚の錯覚
    2. 剛性 (物理量)

会場

大田区産業プラザ PiO
144-0035 東京都 大田区 南蒲田1-20-20
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