第1部. しびれの研究手法とメカニズムの解析
(2016年11月7日 10:30〜12:00)
糖尿病やがん化学療法、脱髄性疾患などによる末梢神経障害に伴う痛みやしびれに対する既存の研究手法は人への外挿性に問題があり、新たな動物モデルや評価法が必要とされる。
本講演では、主に末梢神経障害/末梢血流障害に伴う痛みやしびれのin vivoおよびin vitro解析手法やそのメカニズムなどについて概説し、有望な標的候補分子について、演者らの最近の知見も含めて紹介する。
- しびれの基本的知識
- しびれとは何か 痛みとしびれの違い
- しびれの原因 末梢神経障害と末梢血流障害
- 末梢神経障害の動物モデルとその評価法
- 糖尿病性神経障害モデル
- がん化学療法誘発末梢神経障害モデル
- しびれは評価できるか?
- オキサリプラチンによる急性末梢神経障害モデル
- 末梢血流障害によるしびれ動物モデルとその発症機構
- 末梢血流障害によるしびれ動物モデル
- 後肢虚血/再灌流によるしびれモデルとその発症機構
- 末梢神経障害のin vitro解析法
- シュワン細胞/末梢神経 – シュワン細胞共培養系の培養方法と評価
- 抗がん剤による脱髄と末梢神経障害との関連
- 脱髄性末梢神経障害の新たな治療戦略
第2部. 神経内科からみた、しびれの診断方法と今後求める治療薬像
(2016年11月7日 12:40〜14:10)
『しびれ』を主訴とする患者は著しく多い。現在の臨床現場では、しびれ=末梢神経障害と考えがちであり、現実的にはそれを根拠として治療にあたることが多い。しかし現実的には、中枢神経系に基づく場合、また必ずしも神経系統の異常とは言いがたい場合もある。さらに自律神経の状態によって自覚症状が修飾されることもあるので、責任病変を推定することに苦慮する場合が少なくない。
今回は『しびれ』の訴えを聞いた場合、背後に存在するさまざまな病態を考え直す機会にしたい。
- 自覚症状としてのしびれのいろいろ
- 末梢神経からの症状
- 知覚脱失、知覚鈍麻、異常知覚、知覚過敏、神経痛
- 中枢による症状 ・視床痛、脊髄痛、γニューロンの関与は?
- 神経痛を考える
- 本態性神経痛と続発性神経痛
- 器質病変か機能性病変か?
- 関連痛とは
- 神経痛とその近傍のしびれ・痛み
- アロディニア、慢性局所疼痛症候群
- 子宮頸がんワクチン副反応を検証する
- 自律神経による影響とは
- レイノー症状、冷え症、肢端紅痛症 ・脳血管障害としびれ
- しびれのみで診断可能例、不定のしびれ
- 軸索変性と節性脱髄
- 全身性疾患、局所性疾患
- 末梢神経の再生
第3部. がん治療時でのしびれの診断・治療と薬剤選定
(2016年11月7日 14:30〜16:00)
がん薬物療法によるしびれ (末梢神経障害) は、患者のQOLを低下させる重大な有害反応である。
がん治療継続にはしびれ対策が必要であり、臨床現場での実際を症例を提示しながら説明する。
- がん治療時におけるしびれ (末梢神経障害) の基礎
- 神経系の構造
- しびれの発症機序?軸索障害、神経細胞体障害、脱髄障害
- しびれの原因となるがん薬物療法とその症状
- 症例提示
- しびれの評価
- しびれの対策?ケア
- しびれの薬物療法
- 臨床現場からみるしびれの問題点
- 客観的な評価困難
- しびれが患者のQOLを低下させる
- 医療者側の問題点
- 患者側の問題点
- しびれの有効な対策とは何か
- 神経障害の予防
- 神経障害の修復
- しびれの対症療法
- 医師、医療従事者が望む薬剤とは何か。