第1部. 生物模倣技術の最新研究動向と国際標準化の展望
(2016年11月18日 10:00〜11:30)
ナノテクノロジーと博物学の連携によってルネサンスを迎えたバイオミメティクスは、「生物多様性」を“持続可能な新しい成長に向けた発想と技術革新の源”と捉えることで、資源・エネルギー・環境問題の切り札として、また、インダストリー4.0においてはIoTを支えるコア技術として注目されています。
Economic Game Changerとして期待されるバイオミメティクスの現状を紹介するとともに、国際標準化の動向について解説します。
- はじめに
- バイオミメティクスは温故知新であり、ロボティクスであり、ナノテクノロジーであり、そしてエコロジーである
- バイオミメティクスの黎明と分子系バイオミメティクスの台頭
- 機械系バイオミメティクスの潮流
- 新潮流、材料系バイオミメティクスによるルネサンス
- 生態系バイオミメティクスのトレンド
- バイオミメティクスは“生物から工学への技術移転”であり、情報科学が必要である
- 産業界はバイオミメティクスをどう見ているのか
- 国際標準化の動き
- バイオミメティクス・データベース
- バイオミメティクスの特許動向
- オープンサイエンス、オープンイノベーションのプラットフォームとしての博物館
- バイオミメティクスは、パラダイムシフトでありイノベーションである
- 進化適応は壮大なるコンビナトリアル・ケミストリー
- 深読み、バイオミメティクスとIndustrie 4.0
- 自己組織化はバイオミメティクスのキーテクノロジーである
- おわりに
第2部. バイオミメティックDLCの応用による医療デバイス表面の機能化
(2016年11月18日 12:15〜13:45)
ダイヤモンドライクカーボン (DLC) 膜は,平滑で不活性な表面であるため,近年では生体物質との相互作用を嫌う医療用材料の表面処理方法の一つとして注目されている。
厚生労働省の厳しい審査基準をクリアした純国産の冠動脈DLCステントをはじめとして,人工血管やインプラント等,先端医療デバイスの実用化について,バイオ医工学融合領域における最新のバイオミメティックDLCコーティング技術を概説する。
- 医療用DLCコーティングの現状
- ダイヤモンドライクカーボン (DLC) とは
- 医療材料用DLCの要求特性と課題
- DLC搭載ステントの開発
- DLCナノコーティングの設計技術
- 生体親和性評価,In vivo評価
- 薬剤溶出ステントへのDLCの応用
- DLCを用いた無機有機ハイブリット材料の創成
- DLC組成制御による高分子の接着力向上
- バイオミメティックDLCの開発
- プラズマ表面改質技術を用いたDLC表面のゼータ電位制御
- 生体親和性評価
- 歯科インプラントへのDLCの応用
- 骨適合化DLCの設計,最新の高耐久性DLC成膜技術
- 骨適合性評価
- 人工血管へのDLCの応用
- 小径長尺医療デバイス内面へのDLCコーティング技術
- DLCコーティングPTFEの生体親和性評価
第3部. 生物型ロボットおよびソフトロボティクスの医療福祉機器への応用
(2016年11月18日 14:00〜15:30)
本講演ではミミズの蠕動運動は他の移動手段にはない大きな特徴を有しており、その利点を生かした大腸内視鏡ロボットの紹介を行う。
また、わずか50gの稼働質量で 200Kg重以上の出力がでる高出力型空気圧人工筋肉やジャミング転移、機能性流体を用いたソフトロボティクスによる医療機器への応用について概説する。
- 高出力型空気圧人工筋肉とその応用事例
- 高出力型空気圧人工筋肉の開発
- 人工筋肉を用いた応用事例
- 機能性流体と人工筋肉の組み合わせによる可変粘弾性制御
- 可変粘弾性関節を用いたロボットの応用事例
- ミミズの蠕動運動による応用事例
- ミミズの蠕動運動の特徴と推進メカニズム
- ミミズロボットと内視鏡推進機構への応用
- 繰り出し機構とジャミング転移を用いた医療用器具
- 医療用以外の生物型ロボットの応用事例の紹介
- 質疑応答
第4部. マイクロ加工と生物模倣技術 – 蚊を模した痛みのない針の開発 -
(2016年11月18日 15:45〜17:15)
- 蚊の穿刺動作の高速度カメラによる観察
- 蚊の針のサイズと穿刺方法
- ギザギザ形状の効果
- 蚊の生体模倣によるマイクロニードルの作製
- マイクロマシニング
- MEMS
- 人工皮膚を用いた穿刺実験
- 細くすることに伴う針の危険性
- 細くしても針の安全性を担保する方策
- 材料の観点からみた針の安全性
- 臨床応用に向けてのハードル
- 質疑応答