第1部. 腫瘍細胞のコミュニケーションによるがん進展制御
(2016年11月14日 10:00〜11:30)
近年、がん組織は異なる遺伝的背景をもつ細胞集団によって構成されていることが明らかとなり、このような「腫瘍内不均一性」はがん発生、悪性化や再発に重要であることが示唆されつつある。
本講演では、腫瘍内不均一性が引き起こすがん進展メカニズムの知見と今後の動向について概説する。
- 腫瘍内不均一性
- 腫瘍内不均一性の再現・解析法
- 遺伝的モザイク手法
- 腫瘍悪性化モデル
- 腫瘍内不均一性によるがん進展制御
- 腫瘍細胞同士の細胞間相互作用
- 相利共生の細胞集団への発展
- 不均一性の増幅とクローン進化
- がん幹細胞とクローン進化
- 腫瘍細胞の不均一性の増幅
- まとめ
- 今後の展望と課題
第2部. ヒストン脱メチル化酵素阻害剤の創製とその抗がん活性
(2016年11月14日 12:15〜13:45)
抗がん剤としてのヒストン脱メチル化酵素阻害剤を有機化学的な創薬手法により創製した。抗がん活性を示した阻害剤について、遺伝子発現解析結果などを基に、その抗がんメカニズムを考察する。
- ヒストン脱メチル化酵素
- Jumonji C domainを含むヒストン脱メチル化酵素 (JHDM)
- フラビン依存性ヒストン脱メチル化酵素 (LSD)
- ヒストン脱メチル化酵素とがん
- ヒストン脱メチル化酵素阻害剤の創製
- JHDM阻害剤の創製
- LSD1阻害剤の創製
- ヒストン脱メチル化酵素阻害剤の抗がん活性とそのメカニズム
- JHDM阻害剤の抗がん活性とそのメカニズム
- LSD1阻害剤の抗がん活性とそのメカニズム
第3部. RNAエピジェネティクスとがんの予防、診断・治療薬開発
(2016年11月14日 14:00〜15:30)
DNAの後天的修飾による遺伝子の発現変化はエピジェネティクスと呼ばれている。しかし近年、RNAもメチル化を含め種々の修飾を受け、その修飾はタンパク質の発現を制御していることが明らかとなり、RNAエピジェネティクスという概念が誕生した。
このRNAエピジェネティクス研究が、がんの予防や診断、治療薬の開発に新たな展開をもたらせている。
そこでRNAエピジェネティクスとがんについての最新知見を紹介する。
- RNAエピジェネティクス
- RNAの修飾
- RNA塩基の1-メチルアデニン、N6-メチルアデニン、5-メチルシトシン等の修飾
- RNAのメチル化制御
- RNA塩基をメチル化するメチルトランスフェラーゼと脱メチル化するデメチラーゼによる制御
- RNAエピジェネティクスの検出
- がんとメチル化RNA
- がん幹細胞維持とmRNAのN6-メチルアデニンレベル、がん細胞のタンパク質翻訳効率上昇とtRNAのメチル化レベルとの関連性
- がんとエピジェネティクス
- がんの発症と悪性化において、遺伝子変異とともにエピジェネティクス制御異常が関与
- RNAエピジェネティクスとがんの予防
- がん細胞機能に関わるRNAエピジェネティクスの制御による予防への期待
- RNAエピジェネティクスとがんの診断
- 血中のRNAエピジェネティクスの検出によるがん診断の可能性
- RNAエピジェネティクス制御によるがん細胞の増殖制御
- がん細胞において種々のRNA修飾塩基が存在し、そのレベルを制御することによりがん細胞の増殖制御が可能
- メチル化RNA脱メチル化酵素PCA-1
- RNAの1-メチルアデニン、N6-メチルアデニンなどを脱メチル化する酵素
- PCA-1酵素活性阻害薬によるがん治療
- PCA-1の脱メチル化酵素活性阻害剤ががんの分子標的治療薬となる期待
第4部. 遺伝子解析情報を基にしたドラックリポジショニングでの予防薬開発
(2016年11月14日 15:45〜17:15)
国立がん研究センター がん予防・検診研究センター 予防研究部 室長 武藤倫弘 氏
- 大腸がん化学予防剤の開発
- これからの大腸がん化学予防薬の基礎及び臨床研究
- ドラックリポジショニングを活用した予防薬の開発
- 今後の課題と展望