(2016年11月28日 10:00〜12:00)
医薬品分子の立体構造 (3D) は、その薬理学的作用との関連性から極めて重要であり、3Dモデリングは構造基盤分子設計 (SBDD) における出発点となります。 そこで、有用な (フリー) プログラムとシェルスクリプトを利用した安定分子構造生成や結合親和性の予測などのSBDDについて紹介致します。
(2016年11月28日 12:45〜14:15)
タンパク質-タンパク質相互作用 (Protein-Protein Interaction ; PPI) は生命反応の主幹にあり、その変調、破綻が多くの重篤な疾患の発症原因となっています。このPPIは創薬ターゲットの宝庫ではありますが、そこを人為的に制御できる低分子化合物 (医薬分子) を創製するのは非常に難しいという意見が根強くあります。 それは、PPIに対して、現在の創薬手法の主流であるHTS (High Throughput Screening) /CC (Combinatorial Chemistry) の組み合せでは、十分な薬効を有する化合物を探すことは難しく、しかもその最適化も試行錯誤になってしまうからです。このような問題をブレークスルーするには、in silico 手法を駆使し、ターゲットタンパク質の構造解析データに基づき分子設計できる新たなin silico創薬戦略を開発することが重要であると考えられます。 私共はタンパク質間相互作用を標的として、“最適医薬分子を創る”という課題に対して、新たな創薬方法論 (COSMOS; Conversion to Small Molecule through Optimized-peptide Strategy) を考案し、それを実装する新しいin silico分子設計手法を開発しました。そのコンセプトは、「創薬ターゲットタンパク質のHot Spotに対して、最適結合ペプチドを設計し、その結合座標を再精密化した後に、低分子変換設計から最適医薬分子を創成する」というものであります。 本セミナーでは、その戦略の理論と実践について紹介します。
(2016年11月28日 14:30〜16:30)
化学空間中の目的活性を有する分子構造周辺にまだ見つかっていな分子構造をどのように探索するか、また構造活性相関モデルを用いて目的活性に対応する分子構造をいかに効率的に創出するかは創薬における一つの大きな課題である。 このほか化学空間 (リガンド空間) 、タンパク質空間を可視化しながら、特定タンパクに特化した目的活性を有する分子構造が化学空間のどこに存在しそうかを検討するツールも発想を刺激するのに有効である。 Spherical SOMを用いたリガンド・タンパク質の可視化と相関解析、および分子構造重ね合わせの自動化がもたらす探索対象の発見にも言及し、De novoデザインについて、現在開発が進められているいくつかの手法を紹介する。