本セミナーでは、高分子結晶について基礎から解説し、最近の研究例について紹介いたします。
また、簡便な分析手法である高分子の熱分析について、詳解いたします。
高分子材料の力学物性や熱的性質の制御を行う上で、結晶化と融解、およびガラス転移は要となる重要な現象です。一般に超薄膜や超微粒子、ミクロ相分離系などの微細な構造を有する高分子材料では、結晶化やガラス転移において、バルク系とは大きく異なる特異な挙動を示します。これらは、それぞれの系に固有の特徴的なものであり、多くの場合、界面が大きな役割を演じると考えられます。これらのメカニズムの解明は学術的のみならず工業的にも重要な課題であり、その成否は高分子を含む多様な複合材料の今後の開発を大きく左右すると考えられます。 本講演では、高分子の熱物性について、基礎的な事項からていねいに解説するとともに、ナノ材料系などで明らかにされた重要な知見や最近の研究例について紹介し、そのメカニズムを考察します。受講者は高分子などの材料技術に携わる技術者全般、教員、学生などを対象とします。物理化学や高分子に関して多少の知識があることが望ましいです。