医薬ライセンスにおいてデューデリジェンスは化合物評価の最終段階として重要であることは言うまでもありません。しかし、限られた日時の中で、また、先方の施設で実施しなければならないため、ライセンス交渉における主要協議事項にフォーカスして実施されることが多いと思います。しかし、ライセンス交渉が始まってしまうと案外、忘れられがちなライセンスポリシーが達成されているかどうかを確認することがより重要な場合もあります。また、将来の提携先の施設だけでなくそこで働く人材と直接話しができる貴重な機会でもあります。
一方、包括的で客観的な評価・分析を行うためには製薬企業のすべての担当部門が参加することが不可欠で、かつ、高い専門性を要する作業のため専門要員の育成が重要になってきています。
ここでは、導入の可否を最終決定するためのデューデリジェンスについて一般的に行われている手順と報告書のまとめ方などを概説するとともに、化合物評価やデューデリジェンスの限界と注意点についてもお話ししたいと思います。
- 最近の医薬品ライセンス傾向とデューデリジェンス
- オープンイノベーションへの移行
- 提携型研究開発型製薬企業の大型化
- 最近のデューデリジェンスの傾向
- 医薬ライセンスにおけるデューデリジェンス
- デューデリジェンスとは
- 一般的な主要査察項目
- ライセンスポリシー
- ライセンス交渉での主要協議事項
- 製薬・製造施設
- 開発データパッケージ
- デューデリジェンスのプロセス
- デューデリジェンスの流れ
- 実施時期
- 主な対象資料と担当部門
- 各担当部門の準備作業
- 具体的な査察項目の抽出
- 対象資料のリストアップ
- 自社ノウハウの保護
- ライセンス部門による事前ミーティング
- 具体的な手順の確認
- 査察サイトや相手側担当部門、担当者の確認
- 査察対象資料リストの確認
- ライセンス部門による事後ミーティング
- 各担当部門からの報告の集約と重要事項の整理
- 総括報告書の作成
- 数値化による評価
- 担当部門別評価
- 不安要素の分析
- 重要度による重みづけ
- デューデリジェンス実施例
- 開発初期化合物の場合
- 開発後期化合物の場合
- 信頼関係構築の機会
- デューデリジェンスの限界とリスクヘッジ
- デューデリジェンスの限界
- 実施にあたっての制約
- 担当者の過大な負担
- デューデリジェンス後の共同責任
- リスクヘッジ
- 停止条項
- ハードシップ条項
- 割引現在価値分析での収益性マージンの取り方
- リアルオプション理論による収益性の検証