無線LANの最新標準化動向

近年、スマートフォンやタブレット、ノートPCなどのモバイル端末の爆発的な普及、および技術発展によって、その高機能化、多機能化が著しく進んでいます。 　これまで無線LAN規格は、11a/b/g規格の数十Mbpsの時代から、11n規格では数百Mbps、11ac規格では数Gbpsというようにその「高速化」が大きく注目されていましたが、モバイル端末の高機能化、多機能化に伴って、一通信規格であった無線LANに求められる機能も「多様化」しています。そのため、近年の無線LANの標準化動向はこれまでと少し様子が変わり、無線LANによる高精度測位、アクセスポイントへの接続容易化、超低消費電力化、長距離化など、機能面やユーザビリティを向上する方向に新しい規格標準化が進められています。 　他にも、オフィスビルや駅構内、スタジアム、空港などにおいて、無線端末同士の電波干渉が問題視され、それを解決すべく11ac規格の次世代規格11axの標準化が進められており、ここでも注目されるキーワードは「高速化」ではなく「高効率化」というものです。 　本セミナーでは、無線LANの目指す先として、これらの次世代無線LAN規格の標準化動向を紹介すると共に、そのユースケースや新技術について解説します。また、その他の無線規格についても触れていきます。

1. セミナー概要
   1. 無線LANの目指す先
   2. 無線LANの歴史
   3. 知られざる無線LAN規格たち
2. 従来の無線LAN規格
   1. 無線LANを普及させた11b規格
   2. OFDM方式採用の先駆け11a/g規格
   3. サービスの品質を向上した11e規格 (QoS)
   4. セキュリティを向上した11i規格
   5. 大幅な高速化を実現した11n規格 (MIMO)
   6. 1Gbps以上の高速化を実現した11ac規格
   7. ミリ波 (60GHz帯) を導入した11ad規格
   8. 1GHz以下の帯域を用いる11af/11ah規格
3. 新しい無線LAN規格
   1. 無線LANの高効率化 … HEW (High Efficiency Wireless LAN) 規格:TGax
   2. APとの接続性を向上する … FLS (Fast Link Setup) 規格:TGai
   3. GPSの屋内版 … NGP (Next Generation Positioning) 規格:TGaz
   4. 長距離・低消費化を実現する … LRLP (Long Range Low Power) 規格:LRLP TIG
   5. 無線LANの超低消費電力化 … WUR (Wake Up Radio) 規格:WUR SG
   6. いち早くサービスを提供する … PAD (Pre – Association Discovery) 規格:TGaq
4. その他の標準化動向
   1. 産業用無線規格 (IoTやSensor Networkなど)
   2. 移動体無線規格 (5G)
      • タスクグループTGxxが標準化を終えると、新しい規格IEEE802.11xxとなる。
      • タスクグループTGに昇格する前は、スタディーグループSGと呼ばれる。
      • さらにスタディーグループSGの前段階として、トピックインタレストグループTIGが存在する。