(2016年10月31日 10:30〜12:00)
近年、欧州では遺伝子治療の臨床開発が進み、複数の遺伝子治療が医薬品として承認を受けている。ただ、日欧米3極における規制の違いから、これら遺伝子治療薬を我が国で開発することは容易ではない。本講演では開発者の立場から我が国での遺伝子治療薬開発試験の進め方を考える。
(2016年10月31日 12:30〜14:00)
アデノウイルス (Ad) ベクターは、遺伝子治療において最も汎用されているベクターである。このAdベクターは、静脈内投与した場合、大半が肝臓に分布する。その為現在は、癌組織などの標的部位に対する局所投与で用いられている。本講演では、Adベクターの体内動態を制御するためのDDS技術について我々の研究を中心に紹介する。
(2016年10月31日 14:10〜15:40)
遺伝子治療製品の開発において、挿入変異による白血病発症や過剰免疫応答と考えられる重篤な副作用が認められたことから、その安全性評価が特に注意を要する。また、挿入変異のように必ずしも非臨床試験でそのリスクが明確にならないこともあり、そのために長期に亘る患者のホローアップが重要とされ、この点は他の製品と安全性評価の観点が大きく異なるところである。 さらに、ウイルスベクター作製に関連する安全性として、セルバンクや培養工程からのウイルス汚染のリスクについても注意が必要である。特に腫瘍溶解性ウイルスベクターでは、製品そのものが増殖性を持つウイルスであることから従来のウイルス安全性では対応が困難な部分もある。これらの点についても触れたい。 さらに、有効性を示唆するデータをどのように取得するにかついても考察する。