第1部. 生体内で可溶化する組織接着性ポリアクリル酸複合体ゲルの開発と止血材、癒着防止材への臨床応用
(2016年10月25日 10:00〜11:30)
生体内で可溶化し局所から消失する新しい生体組織接着性ゲルの開発について解説し、その止血材、癒着防止材としての機能、臨床での効果、商品化の経緯を紹介する。
- 生体組織接着性材料
- 組織接着性材料の現状と問題点
- 合成粘膜接着性高分子;ポリアクリル酸 (PAA)
- PAAとポリビニルピロリドン (PVP) の水素結合ゲル
- 水に膨潤するPAA/PVPゲルの開発
- 生分解性
- 一般の生分解性材料
- PAA/PVPゲルの生体内での可溶化
- PAA/PVPゲルの止血材への応用
- 止血材に必要な性能
- 抗凝血剤服用患者の止血
- PAA/PVPゲル止血材の臨床研究
- 採血・人工透析後の止血
- 抜歯後の止血
- PAA/PVPゲルの外科手術用止血材への応用
- PAA/PVPゲルの癒着防止材への応用
- 癒着防止材に必要な性能
- PAA/PVPゲルの癒着防止効果
- PAA/PVPゲル止血材の商品化
第2部. 分子認識を利用した自己修復ゲルの開発
(2016年10月25日 11:45〜13:15)
最近、自己修復材料に関心が寄せられている。これは自己修復が可能になれば、素材の省資源化、安全性の向上など、多くの利点があるからである。私たちはホストゲスト相互作用を利用した自己修復材料を開発している。その現状と応用への可能性などについて述べる。
- 生体内での自己修復
- 自己修復材料の設計
- 物理的自己修復
- 化学的自己修復
- 動的共有結合を用いた自己修復
- ジオールとボロン酸系
- Diels – Alder反応を用いた系
- ラジカル開裂を用いた系
- 非共有結合を用いた自己修復
- 水素結合系
- イオン結合系
- 分子認識を用いた自己修復
- シクロデキストリンホストーゲスト系
- その他
- 自己修復ゲルの利用
第3部. 新規ヒドロゲル創傷被覆・癒着防止材の開発と有効性
(2016年10月25日 14:00〜15:30)
癒着防止材としてヒアルロン酸とカルボキシメチルセルロースをベースとするフィルム状のものが広く使用されている。我々は、フィルム状のものよりも、より扱いやすい癒着防止材として、水溶液として塗布した後に目的部位表面でヒドロゲルを形成するヒアルロン酸をベースとする材料について開発、検討を行っている。このヒドロゲル形成に関する詳細や応用、癒着防止材としての性能などに関して紹介する。
- 酵素反応をつかったゲル化
- 酵素反応によるゲル形成の概要
- 酵素反応より得られるゲルの組織工学・再生医療用材料としての性能
- 創傷被覆材としての有効性
- 癒着防止材としての有効性
第4部. ゲルからの薬物溶出性の制御技術
(2016年10月25日 15:45〜17:15)
ハイドロゲルは薬物の徐放担体として非常に優れている。多くのゲル素材の高い生体適合性に加え、タンパク質製剤の封入が容易である点、徐放速度がある程度設計できる点、そしてフィルム・スポンジ・粒子・スプレイ投与など、形態を様々に変化させて投与が可能である。医用ゲルは、すでに癒着防止材・止血材・創傷被覆材・塞栓ビーズなどの様々な医療機器として応用されており、これらの医療機器を高機能化させるためにも、薬物徐放技術との組み合わせが強く期待されている。本講演では、現象の物理化学の側面に始まり、実際の実験方法、医療機器での検討例や応用例までを紹介する。
- ゲルからの薬物徐放:物理化学的側面
- ゲルの膨潤と分解
- ゲルへの薬物の吸着
- ゲル中の薬物の溶解拡散
- ゲルの分解による徐放
- 薬物のコンジュゲイションと徐放
- ゲルへのナノ粒子・リポソームの包埋
- 薬物徐放性能の評価:実験方法
- モデル物質を用いた徐放実験
- 薬物徐放試験
- 細胞アッセイや酵素活性測定を用いた薬物活性評価
- 動物実験による評価
- 薬物徐放ゲルの実例
- フィルム状ゲルからの徐放
- in situ架橋ハイドロゲルからの徐放
- 薬物徐放ゲルビーズ
- 薬物担持ナノゲル
- 薬物徐放ステント
- 再生医療の足場材料