日時
- 2016年10月21日 10時30分〜 2016年10月21日 16時30分
プログラム
- 人は言語化できない知識 (暗黙知) を持っている
- 二種類の知識 – 形式知と暗黙知
- 暗黙知の二つの側面
- 暗黙知は人の直接経験から生まれる
- 仕事に含まれる暗黙知 – 多くは認知的スキル
- 重要な認知的スキル
- 状況認識 (情報収集、情報解釈、状況予測)
- 意思決定 (問題明示、選択肢の比較検討選択肢の選択と実行、結果の評価)
- 気づき、評価、解釈、優先順位付け、等
- 暗黙知見える化の全体像
- 熟練者によるタスク分析表の記入 (自問自答)
- 分析するタスク (〇〇の設計、〇〇の企画等) を特定
- 特定したタスクをサブタスクへ分解
- 各サブタスクの実施中に行っている思考・行動を記入
- 重要な認知的スキルを含むサブタスクを選択
- 重要な認知的スキルに必要なカン、コツ、ノウハウを記入
- インタビュアーによるタスク分析表の修正・追記
- インタビューによりタスク分析表の空白を埋め、不適切部分を修正
- インタビュアーによる認知的スキルの抽出・分析
- 選択したサブタスク中の認知的スキルのタイプ (種類) を特定
- 選択したサブタスク中の認知的スキルに係る経験談を導出
- 導出した経験談中の各事象で行った思考プロセスを特定
- 特定した思考プロセスの詳細を分析
- 学習テキスト・マニュアルの作成
- 入手した全データを整理・分析
- 整理・分析した結果を後継者が理解できる形で表現
- 表現した分析結果に基づいて新規テキスト・マニュアルを作成 または既存テキスト・マニュアルに追記
- 熟練者によるタスク分析表の記入 (自問自答)
- 暗黙知見える化を弁理士が始めた経緯
- 特許明細書作成という仕事で培われたスキル
- 発明を言語化・概念化するスキル
- 発明者から必要情報を引き出すスキル
- 企業にとっての特許の価値と無力感
- 特許明細書作成は「発明」の言語化・概念化
- 特許明細書作成は「発明」の本質を押さえた抽象化と具象化
- 特許明細書作成に使われるフレームワーク
- 発明の言語化・概念化スキルの暗黙知見える化への転用
- インタビュー (面談) スキルの暗黙知見える化への転用
- 特許明細書作成という仕事で培われたスキル
- 暗黙知見える化に最適な弁理士の発明言語化スキル
- 特許明細書とは特許庁審査官あてに書く発明解説書
- 特許明細書を書く時に使う思考パターン
- 弁理士の仕事は発明の本質把握とその言語化・概念化
- 発明の抽象化と具象化を通じた発明言語化・図像化
- 発明の抽象化によりその本質を掴む – 請求項
- 本質に基づいて発明を具象化する – 実施形態
- 発明の抽象化と本質把握の事例 – 六角形鉛筆の発明の場合
- 弁理士のスキルの暗黙知見える化での活用法
- 暗黙知とその意義
- 暗黙知は言葉にしにくい有益知識と知恵
- 暗黙知は心に深く潜在する技術常識
- 暗黙知の本質は経験に基づく認知的スキルにあり
- 認知的スキルの言語化・概念化とは
- 設計・開発業務は暗黙知の固まり
- ITの発達による認知的スキルの重要度急増にどう対応するか
- 暗黙知見える化の具体的手法 – 認知的タスク分析
- 認知的タスク分析 (Cognitive Task Analysis、CTA) とは
- 心理学者が熟練技術の分析に多用
- 社員の業務・パフォーマンス分析に多用
- 認知とは – 認識・理解・思考
- 頭 (心) の中で起こっている知的活動
- 注意、知覚、パターン認識、記憶、判断、意思決定、問題解決、推論等
- タスクとは – 技術者の仕事 (〇〇の設計、〇〇の企画等)
- 認知的タスク=外部から観察できない心的プロセス
- 分析とは – 心的プロセスを分解・整理して言語化・概念化
- 自問自答とインタビューによる認知スキルの抽出 (言語化)
- 抽出した認知スキルの整理 (概念化)
- 認知的タスク分析の具体例
- 熟練者の自問自答+熟練者に対するインタビュー
- タスク中の認知 (思考) プロセスの抽出
- タスク分析表の作成・修正・追記
- 使用する質問の具体例
- 学習テキスト・マニュアルの作成
- タスク分析の結果に基づき学習テキスト・マニュアルを新規作成
- タスク分析の結果に基づき既存テキスト・マニュアルを修正・追記
- 認知的タスク分析 (Cognitive Task Analysis、CTA) とは
- タスク分析の結果の利用 – 後継者による認知的スキルの体得
- 座学による研修
- 熟練技術者本人による指導・解説
- OJTによる実践 (トレーニング)
- 熟練技術者本人による支援
- 座学による研修
- 質疑応答
講師の言葉
私は弁理士です。30年以上、日本を代表する大企業 (NEC) を始め、多くの中小企業やベンチャー企業 ( 株式会社 ザイキューブ) の特許を取るお手伝いをしてきました。その間ずっと、「その状況で力の限りを尽くす」というポリシーで仕事をしてきましたので、クライアントには高い評価をいただき、やりがい、達成感も感じてきましたが、最近は「無力感」の方が大きくなっていました。その理由は、苦労して良い特許をとっても、それが直接的に企業の業績改善につながらないからです。相当のお金をかけて特許を採ったのに、です。 そうこうしているうちに、最近、あることに気づきました。 「そうだ。特許を取るのは、あくまで事業の役に立てるため、競争優位を得るためだ。だが、特許が事業の役に立つかどうかは、他社動向、経済状況等の周囲の状況に左右され、自社の意思だけでは決まらない。きわめて流動的だ。それなら、周囲の状況に左右されず、自社の意思だけで高確率で成果が見込めることやる方がいいんじゃないか。決して特許の重要性を否定するわけではないが・・・・。」 それは、「仕事を通じて個人の頭や身体の中に培われてきた暗黙知を引き出し、それを言語化・体系化して組織知に転換する」ということです。 特に、暗黙知の「本質」とも言える「判断」に焦点を当てて、これを見える化することができれば、多くの社員が利用しやすく価値の高い組織知に転換できるのでは、と思うからです。
今回企画したのは、暗黙知見える化の具体的手法をお伝えするセミナーです。ここで言っている「暗黙知」は、個人が持つノウハウ、コツ、強み、教訓、経験といったもので、言葉では伝えられない、あるいは、非常に伝えにくい知識や知恵のことです。
個人 (特に優秀社員) の頭の中にある暗黙知を引き出して見える化できれば、「技術や知識の属人性」という大きな問題がなくなり、技術や知識を「組織の資産」にできますから、熟練技術の流出 (消失) 防止、若手・中堅社員の能力 (スキル) 向上、日常業務の効率化等、多くの成果が期待できます。特許を取るよりも、企業の業績向上に直接的にかつ高確率で貢献できるわけです。これが暗黙知見える化による第一のベネフィットです。
暗黙知見える化による第二のベネフィットは、何よりも自信がもてることです。社長 (部門長) だけでなく、社員も自信を持てるようになるのです。
「俺の会社、けっこう良いモノを持っているじゃないか」
「私にはこんな能力があったんだ」
というように。
これは、特に中小企業について言えることですね。
また、暗黙知を提供した人は、暗黙知見える化プロセスを通じて、無意識でやっていた自分の思考法に気づくことができます。その結果、自分のノウハウや強みの改善・拡張が容易になり、ノウハウや強みのいっそうの価値向上が期待できます。これは、特に、暗黙知の開示を積極的には望まない優秀社員に暗黙知見える化を承諾してもらう理由でもあります。
しかし、優秀社員からの暗黙知提供をいっそう容易化するには、これとは別に、企業が何らかの報酬を与える (例えば給与・昇進に反映させる) ことが必要だと思います。
第三のベネフィットは、「熟練技術の承継・共有」問題の解決です。熟練技術の承継や共有が難しい原因の一つは
「伝えたくても伝えられない。」 (熟練者は伝えるコトバと教え方を知らない)
「教わりたくても教われない。」 (若手社員は教わるための背景知識を持っていない)
ということにあります。
他の一つは、熟練者自身、自分の暗黙知が持っている価値に気づきにくいと言うことです。
暗黙知見える化法を知って実施することで、この難しい問題の解決も期待できるようになります。
これら以外には、「特許取得プロセスが効率的になる」という第四のベネフィットと、「特許をどのように事業で使えば事業に好影響を与えられるかを明確に判断できる」という第五のベネフィットもあります。
しかし、「暗黙知を見える化する」というのは難しいことです。しかも、「暗黙知の本質を取り出してそれを上位概念化し、さらに体系化する」というのは、本当に、「言うは易く行うは難し」です。 暗黙知は、それを持っている本人でさえ無意識で行っている部分や直観で判断している部分が多いため、ある行為をする際に、自分がどのように考え判断しているかを人に説明できません。特に、暗黙知を持っている本人が、暗黙知の対象を自分の眼や耳や手でどのように知覚しているかを言葉で伝えるのは、非常に難しいでしょう。 しかし、発明者や相談者との面談 (インタビュー) を数百回経験し、それに基づいて数千件の発明という無形のアイデアを把握 (構造化、上位・下位概念化) し、言語化・図像化してきた熟練弁理士なら可能です。面談の相手を、発明者・相談者から暗黙知所有者、例えば、社長自身、あるいは、熟練社員、優秀社員、エキスパートなどと呼ばれる人に変え、併せて質問の内容とパターンを適切なものに変えればいいのです。多少時間はかかるかも知れませんが、十分可能です。 (費用対効果を考えると、このような手法で言語化・図像化する暗黙知は、本当に重要なもの、組織知として共有する価値があるものに限定する方がよいかもしれません。) 彼ら・彼女らと面談し的確な質疑応答 (対話) をすることで、知識労働 (例えば開発・設計業務、生産業務、企画業務) をする際に何をどのように考えているのかを、詳しく教えてもらうのです。こうすることで、彼ら・彼女らの頭の中にある暗黙知が的確に上位概念化されたうえで言語化・図像化されるため、他の社員が理解して使えるようになるのです。 ここで大事なのは、暗黙知の「本質」である「判断」がどのようになされているかを的確に抽出し、体系化 (構造化) することです。そうすることで初めて、暗黙知提供者以外の社員だけで活用できるようになるからです。 こうして、一人または少数の社員だけが持っていた暗黙知が、彼ら・彼女らの協力のもとで組織知に転換されるので、若手・中堅社員に暗黙知に基づく効率化や創意工夫が期待できるようになるわけです。 なお、暗黙知見える化は決して簡単ではありませんが、人のアイデアや考えを言語化・図像化することに習熟している社員なら、暗黙知見える化の手法とコツを知ってから日常業務で経験を積むことで、できるようになるのは早いと思われます。 (暗黙知見える化の手法を自社で再現できるように、別途、研修やコンサルティングも行う予定です。)
最近、多くの日本企業は元気がありません。社長 (部門長) は、会社の業績が良くて現状維持、ともするとどんどん悪化する状況にあり、社員を怒鳴りつけて現状を変えようと必死で動いているのに、状況は変わらず、イライラしっぱなしです。他方、社員は、会社の業績がなかなか上向かないために、将来に希望が持てないし、社長 (部門長) に怒鳴られてばかりで、いいかげんウンザリしています。どちらも、自分たちの将来の姿が見えないため、希望が持てないのです。 本セミナーを通じて、また、その後の研修やコンサルティングを通じて、落ち込んでいる日本企業を元気にしたい。彼らの笑顔を取り戻したい。そして、むしろ、特許や知的財産の分野ではなく、人材育成・能力開発の分野で、日本企業の業績改善に貢献できれば、と強く思っています。
「暗黙知見える化」を通じた企業業績改善を考えている弁理士なんて、まずいないでしょう。そのようなことを考えている私は、そうとうな変人だと思います。が、何とかして自分の能力で日本企業の業績改善に貢献したいという思いは、人一倍強く、「暗黙知見える化」はその思いから10年かかってようやく見出したテーマなのです。その後、それに必要な知識と経験を蓄積し、体系化しながら、今に至っています。 この文章を読んで、日頃、企業で、技術の承継・共有やナレッジマネジメントに関する問題でお悩みで、「暗黙知見える化法」を利用することでそれらの問題を解決できるかもしれない、と思われた方は、ぜひ、私の話を聞きに来てください。少なくとも問題解決のヒントは得られるのではないか、と思います。
会場
受講料
- 1名様: 46,278円(税別) / 50,905円(税込)
割引特典について
- R&D支援センターからの案内登録をご希望の方は、割引特典を受けられます。
- 1名でお申込みいただいた場合、1名につき 43,750円 (税別) / 47,250円 (税込)
- 複数名で同時にお申し込みいただいた場合、1名につき 23,139円 (税別) / 24,990円 (税込)
- 案内登録をされない方は、1名につき 46,278円 (税別) / 49,980円 (税込)