一般的なコミュニケーション力と題するセミナーは、「二人から四人一組で会話練習する。この練習を積み重ねて会話力・話す力・聞く力を高めていく」としていますが、これは、営業や管理職向けのセミナーです。本セミナーは、研究、企画、設計、製造、検査、品質保証、保全、そして、調達部門のための「説得力」、「文章力」、「交渉力」の向上を目的とし、練習ではなく、技術力同様の「匠のワザ」を習得します。 ここでいう「匠のワザ」とは、目的の共有/6W2H/図表の選択/事前予測/3秒ルール/コンセンサスです。かなり技術に近い用語が並びました。また、ここで言う「匠のワザ」の対象物は、電子回路、機械材料、精度、信頼性、寿命などの技術ではなく「人」です。 近年、コミュニケーション力と題するセミナーが数多く存在しています。しかし、学術に偏っている場合や、営業向け、管理職向けが多くを占めています。本研修では、技術者向け、とくに受講対象を研究、企画、設計、製造、検査、品質保証、保全、そして、調達部門に特化して構築しています。 技術者のコミュニケーション力の代表例は、図表を用いた説得力、文章力、交渉力のことです。たとえば、用意したパワーポイントの枚数が異常なほど多く、まるで「走馬灯 (そうまとう) のようにめくる場合や、一枚のパワーポイントの中に文字がギッシリ書かれ、要点が絞れていないケースを何度も目の当たりにします。 日常の業務においても、支離滅裂な会話や技術報告書にも何度か遭遇します。これでは、設計審査における「説得力」、お客様へのトラブル報告における「文章力」、研究開発の予算獲得や調達部における仕入れ価格の「交渉力」が失われます。また、技術者のコミュニケーション力とは、一見、技術には無関係と思いきや、技術者として、その頂点に立つ人とは、コミュニケーション力の達人です。もし、そうでないとしたら、誰もついてはいきません。大工の棟梁、料理長を見れば、容易に理解できるでしょう。そして、コミュニケーション力が向上すれば、技術力や調達力も向上することに気付きます。