人工知能による疾患診断技術の開発とその具体的応用事例

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プログラム

第1部. 双方向対話型人工知能による診断支援システムの開発

(2016年10月12日 10:30〜11:30)

 医療分野における人工知能の活用が期待されつつある。自治医科大学では、人工知能を活用した双方向対話型総合診療支援システム「ホワイト・ジャック」を開発中である。  ホワイト・ジャックは、患者さんの予診・問診、身体所見などの情報と生活・環境情報をもとに、総合診療医の経験知を反映させた診療支援システムで、診断の際には疾患名をリストアップし、推奨する検査や薬剤、見逃してはならない重大な疾患を除外するためのリコメンドも表示するようにしている。  利用できるデータベースまた、ICカードを用いた時空IDシステムを用いて情報を共有できるようにしている。  これら全体のシステムを「Jユニコ」と呼び、ビッグデータとして、さまざまな診療情報に加えて位置情報や気候情報なども情報として活用できるように開発している。

第2部. 人工知能によるビッグデータ解析と個別化医療・治療・創薬への応用

(2016年10月12日 12:15〜13:45)

 次世代シーケンサの急速に発展によって、ゲノム・オミックス医療の臨床実装が進展し、分子医学的なビッグデータが大量に蓄積されつつある。これらのビッグデータから個別化医療・創薬に有効な「知識」を抽出するために、deep learningやSparseモデリングなどの人工知能や機械学習の応用が期待されている。  本講演では、がんなどの「ゲノムAI医療」や「AI創薬」など最近の話題を紹介し、将来の動向を論じる。

  1. ゲノム・オミックス医療とビッグデータ
    1. 「新しい医療ビッグデータ」の特徴 (データ形式と収集目的)
    2. 「large p small n」問題と従来の統計的解析の適用不可能性
    3. ゲノム・オミックス・ビッグデータによる医療と創薬のパラダイムシフト
  2. ゲノム・オミックス医療 (個別化医療、プレシジョン医療) と人工知能
    1. ゲノム医療ビッグデータと「学習機能」の必要性
    2. 知識発見システムとしてのIBM Watson
    3. deep learning の革命性と医療知識発見への応用
    4. 臨床ゲノム・オミックス統合データベースと知的検索システムの将来
      「がんのゲノムAI医療」を中心に
    5. 知的診断支援と電子カルテ
  3. 治療の人工知能と「AI創薬」の可能性—
    1. 治療の予測的選択とAIの応用
    2. 創薬への人工知能の応用の概況
    3. オミックス創薬の原理
    4. ビッグデータ準拠研究と治験のパラダイム変換
      registry-based clinical randomized trialという概念
    5. AI創薬研究の方法論と実例紹介
  4. 「ゲノムAI医学」と「AI創薬」の将来発展の予測と展望

第3部. スパコンと人工知能技術が支えるがんの臨床シークエンス研究

(2016年10月12日 14:00〜15:30)

 がんはゲノム異常による病気です。膨大な量のゲノムデータや電子化された知識情報は人智を超えた世界になりました。  東大医科学研究所で実施しているスパコンとIBM Watsonによるゲノム情報に基づくがんの臨床シークエンス研究の最前線を紹介します。

  1. だれもが自分のゲノム情報を利用できる時代が既に始まったが・・・
  2. 生命科学が遭遇したことのない量のシークエンスデータの出現
  3. 乳がん遺伝子BRCA1、ひとつだけを見ても、変異は複雑
  4. がんは進化し想像を超えたがんの多様性が見えてきた
  5. 膨大ながんの変異情報・・・これをいちいち検索している現実
  6. 膨大な量の電子化知識 (文献) の激増-人智・人力を超えた世界
  7. ビッグデータを使って、的確な医療を届けるためには
  8. 次世代シークエンサーって何? そのやっていること
  9. 「私のがん」の黒幕たちを暴き出すために、なぜスパコンが必要なのか?
  10. ゲノムの変異はぞろぞろ (数百~数百万) 見つかるが、その解釈と翻訳がボトルネック
  11. 我々は「井の中の蛙」-世界はすっかり変わっていた
  12. 未来に向けてどうすればよいのか? IBM Watsonの導入
  13. 東大医科学研究所における臨床シークエンス体制
  14. 自然言語を理解し学習推論する機能で人智を超えた領域へ
  15. がんの臨床シークエンス研究におけるBefore/After Watson

第4部. アルツハイマー病画像診断への人工知能の応用

(2016年10月12日 16:20〜17:50)

 アルツハイマー病の補助診断としての画像診断の進歩には著しいものがあり、早期診断、鑑別診断、および経過観察に用いられている。画像診断においては、MRIや脳血流SPECT、およびFDG-PETが神経変性を示すバイオマーカとして用いられている。アルツハイマー病においては、初期から特徴的な画像所見がみられるが、視覚的判定では困難なことが多く、コンピュータによる自動診断が日常臨床で普及している。  さらに、全脳や局所の体積測定や縦断的な体積変化の測定にもコンピュータによる自動測定法が発達している。  最近は、アルツハイマー病の病態を局所の体積や血流・代謝を評価するだけにとどまらず、独立成分分析法やグラフ理論に基づき、脳内のネットワークの異常として捉える解析手法が応用されている。

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