本セミナーでは、身体機能拡張として期待され研究が盛んなパワードスーツについて、空気式スーツを中心に、現状の技術や種類、機能から実用化例と今後の可能性まで詳しく解説いたします。
急速な高齢化に伴い介護負担の軽減が急務となっている。 我々は介護者の身体的な負担を軽減することを目的としたパワーアシストスーツ、介護者が体に装着することによって簡便に肉体的負担を大幅に軽減できるスーツを1991年に提案し、ウェアラブルなアシストスーツを開発し、その後完全ウェアラブル化を実現した。しかし嵩張り邪魔であることなどの課題が残っているため実用化には至っていない。 現在 アクチュエータとしてベローズを用い、ベローズ内を負圧にした時の吸引力を回転力に変換して、腰関節および股関節の伸展力をそれぞれ立にアシストする新方式のものを開発して実用化を目指している。 麻痺した手指のリハビリを好きなとき好きなだけできる「パワーアシストハンド」を開発してほしいという医師の要望に応えて、軽くて柔らかいプラスチック製のベローズ (蛇腹) をアクチュエータとして利用した「パワーアシストハンドおよびレッグ」を2010年に開発し実用化した。本質安全で実用的な性能を有することが実証され実用されている。この機構そのものが手指と同じであることから、ロボットハンド・義手としての有用性も期待されるので、人の手と同じ自由度を持たせることを目標に、さらに多くのベローズを手背上に配置したものを開発し実用可能性を実証している。 本講座ではこれらの開発経緯を紹介し、空気圧によるパワーアシスト技術の優れた可能性を解説する。