(2016年9月20日 10:30〜12:10)
ポリマーの屈折率は、ローレンツ・ローレンツの式で表されるように、ポリマーを構成する分子屈折率と密度に依存され、ポリマーを構成する元素と構造に依存することになる。 高屈折率材料の研究の多くは、ポリマー構成成分の元素にのみ注目されることが多いが、ポリマーの構造により屈折率も大きく異なることも注目するべきであり、そのことで、さらに高屈折率材料の開発を促進させることに繋がると考えられる。 本講演を通じ、今後の高屈折率材料を開発するための新規ポリマーの分子設計指針について考察を加える。
(2016年9月20日 13:00〜14:40)
光学用途に用いられる透明樹脂の特性向上・新機能付与を実現する技術の一つに、無機ナノ粒子をフィラーとして樹脂中に分散させる複合化技術がある。 一般的な研究開発はいかに分散性を向上させてフィラーの高充?化を図るかに目が向けられているが、複合材料としての微構造を精度良く制御することができれば、透明性を維持した状態での無機ナノフィラーの高充填が達成され、大きな屈折率の変化をもたらすことも可能となると考えられる。 本講演では、無機ナノ粒子との複合化によるアクリル透明樹脂の屈折率制御や導電性付与技術を対象として、従来型ブレンド技術による無機/アクリル樹脂系ナノ複合材料の調製事例を紹介するとともに、従来型技術とは大きく異なる複合化技術として近年開発が試みられているアクリル樹脂をはじめとした高分子ラテックスを用いた手法による無機ナノ粒子の高精度配列制御型の同系ナノ複合材料の調製事例について解説する。 さらに、調製されたナノ複合材料の透明性や屈折率等の光学特性について、アクリル樹脂母相中での無機ナノ粒子配列規則性の観点から考察する。 無機ナノフィラーの分散性向上に注目した従来型のナノ複合材料では達成されない光学特性が樹脂母相中でのナノフィラー配列規則性を向上させるというさらにワンランクレベルアップした複合化により発現可能となること、加えて、このレベルアップした複合化手法は簡便なプロセスであることを、新たな屈折率樹脂の設計・開発指針と位置付けて、事例紹介しながらわかりやすく解説する。
(2016年9月20日 14:50〜16:30)
近年、スマートフォンや薄型ディスプレイの登場により、柔軟な高分子を用いた光学材料の物性制御や機能性向上が求められている。特に、視野角や色むら等の問題を解決するためには、光学フィルムの複屈折やその波長依存性が重要である。 本講座では、高分子材料の複屈折の発現機構を説明するとともに、高分子ブレンドや添加剤、成形方法、相分離を用いた複屈折制御事例について紹介する。