第1部 エポキシ樹脂、エポキシ樹脂硬化剤の特徴と硬化メカニズム
(2016年9月29日 10:00〜12:00)
エポキシ樹脂は、成形性、接着性、電気絶縁性、機械的強度等、様々な良い特徴を持ち、多くの分野で便利に用いられている。エポキシ樹脂は、主鎖となる樹脂だけでなく、硬化剤をいろいろと選ぶことができるのと同時に、その種類によって物性も大きく変わるので、適用されるアプリケーションによって適切に選択する必要がある。
本講では、エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂に使われるさまざまな硬化剤の化学構造と、その硬化メカニズムの基礎を導入して、目的の物性に応じた材料設計について解説する。
- エポキシ樹脂の化学構造と特徴
- エポキシ樹脂とその硬化物の構造
- エポキシ樹脂とは
- エポキシ環の反応性
- エポキシ樹脂硬化物の構造と特徴
- ビスフェノール型エポキシ樹脂の構造と特徴
- ビスフェノールA型樹脂の特徴と用途
- ビスフェノール型のバリエーション
- ノボラック型エポキシ樹脂の構造と特徴
- その他のエポキシ樹脂の構造と特徴
- 主な硬化剤の特徴と硬化メカニズムの基礎
- 硬化剤の種類と活性水素
- アミン系硬化剤の種類と硬化反応
- 脂肪族ポリアミン
- 脂環式ポリアミン
- 芳香族ポリアミン
- 変性ポリアミン
- ポリチオール硬化剤
- 酸無水物系硬化剤の種類と硬化反応
- フェノール系硬化剤
- その他の硬化剤
- 触媒系硬化剤
- 潜在性硬化剤
- 硬化剤の異なるエポキシ樹脂の耐食性
第2部 反応速度式によるエポキシ樹脂の硬化反応度の定量化
(2016年9月29日 12:45〜14:45)
本講座では、樹脂の代表的な硬化特性評価技術を紹介し、得られた硬化特性の定量化法として、各種反応速度式の紹介と硬化速度式のパラメータの取得方法及び硬化反応式の応用、活用方法について例を示しながら詳説します。
また、特定の反応速度式を用いないModel-free kinetics法による硬化度定量化法の概要についても紹介します。
- 代表的な硬化特性の評価方法とその特徴
- 力学的方法
- 誘電法
- DSC法
- 硬化反応速度式
- n-th order model
- Autocatalytic model
- Kamal model
- Diffusion-control modeling
- Deng-Isayav model
- 硬化反応速度式の誘導
- 反応速度パラメータの決定法
- 反応速度パラメータと硬化速度
- 硬化反応速度式の活用
- 反応速度パターン、温度と反応速度
- 成形過程における硬化度の推定
- 硬化・流動性のCharacterization
- Model-free kinetics法
- MFK法の概要
- MFK法の適用例
第3部 パルスNMR法によるエポキシ樹脂の硬化過程の解析
(2016年9月29日 15:00〜17:00)
エポキシ樹脂について、パルスNMR法により得られる緩和時間 (T1、 T2) の時間変化から、その硬化過程を分子運動論的に検討した。硬化反応の進行に伴い、樹脂のプロトンの緩和時間 (T2) は、長、中、短の3種類に分かれ、その値と成分比は、それぞれ硬化状態に対応した値へ変化した。また、T1値の反応時間依存性からも硬化過程が追跡可能である。
パルスNMR法の緩和時間の測定により、硬化過程を実時間で連続的、非破壊的に観測可能であることを解説する。
- NMR の原理と種々のNMR法について
- プロトンNMR、13C-NMR、パルスNMR法
- パルス系列の利用と種々の情報
- NMR法で得られる緩和時間と物性
- 緩和時間;T1、 T2とT1ρの概略
- T1、 T2、 T1ρと物質の相関時間および物性との関係
- エポキシ樹脂と3次元ネットワ-ク構造
- 高分子としてのエポキシ樹脂とネットワーク構造
- 重合過程におけるネットワーク構造の構築
- ネットワ-ク構造とNMRの緩和時間との関係
- エポキシ樹脂の硬化度
- 緩和時間からみたエポキシ樹脂の耐久性
- 緩和時間と温度変化
- エポキシ樹脂の経時変化
- 新しい測定法
- 緩和時間のin-situ測定 :NMR MOUSEについて