第1部 核剤による高分子の結晶化とその応用
~核剤の作用機構と上手な使い方~
(2016年9月28日 10:30〜11:50)
新規ポリマー開発と比較して核剤 (あるいは添加剤) の利用による改良は、低コストで目的とする物性改良を獲得することができ、タイムリーに市場要求に応えられる場合 (可能性) がある。
こうした側面から、核剤・透明化剤の上手な活用方法について概説する。
- 核剤により得られる特性と作用機構
- 組織構造と特性改善の関係
- 核剤の作用機構
- ポリプロピレン (PP) の結晶化と核剤
- PPの結晶化と結晶構造
- PP用核剤の種類
- 各種核剤の性能比較
- 核剤による制御と改善
- 新規核剤の開発動向
- 核剤の使用方法
- その他の高分子用核剤
第2部 合成・成形プロセス中の高分子の 結晶化機構と配向構造の制御
(2016年9月28日 12:40〜14:00)
ポリプロピレンやポリエチレンなどの半結晶性の高分子は、身の回りで使われている。化学工場で重合されてから最終製品となるまでに、様々に加工されるので、その履歴が最終的な製品性能に影響している。
本講ではプラスチック製品の性能に大きな影響を及ぼす結晶の配向構造が形成されるメカニズムを中心に説明する。高分子に馴染みのない方にもわかるように、重合から成形方法まで、一通りの技術内容も平易に解説する。
- ポリオレフィンの重合と結晶化
- ポリオレフィンとは
- ポリプロピレンの重合
- 分子鎖の「からみあい」とは
- 重合パウダーの結晶化特性
- 重合パウダーのペレット化
- ペレットの結晶化特性
- ポリオレフィンの成形加工
- コンパウンドとは
- 各種添加物によるポリオレフィンの結晶構造の変化
- 造核剤
- フィラー
- 異種ポリマー
- 固体の延伸と溶融体の延伸
- 延伸による結晶化
- 流動による結晶化 (伸長流動と せん断流動)
- 冷却速度と結晶化
- 射出成形における構造形成
- スキン – コア構造
- ファウンテンフロー
- 流動挙動と結晶構造の関係
- フィルム成形における結晶構造の形成
- 成形品の構造と物性、その制御
- 機械的な物性の発現機構
- 弾性率と耐衝撃性
- 耐熱性
- 成形加工性
- 流動性と機械的な物性
- 成形不良との関係 (ウエルドを中心に)
- より詳しく知りたい人へのアドバイス
第3部 高分子材料の結晶構造解析とその応用
(2016年9月28日 14:15〜15:35)
結晶性高分子のX線構造解析手法は、低分子化合物などで通常用いられている単結晶構造解析とは大きく異なっている。
本講演では、その手法の概略といくつかの解析例について紹介し、繊維状高分子の構造解析でどの程度の構造が得られるかについてお話しする。
- 繊維回折とは ー単結晶解析との違いについてー
- 繊維状高分子の構造解析手法
- 繊維回折データの処理
- Linked-atom法による繊維状高分子の構造解析
- 結晶構造解析例
- 脂肪族ポリエステル
- ポリテトラメチレンサクシネートの構造転移機構の解明
- 放射光を用いたポリテトラメチレンアジペートα型の結晶解析
- キトサンおよびキトサン錯体
- キトサン水和型と無水型の結晶解析
- 放射光を用いたキトサン錯体の結晶解析
- モデル化合物の構造情報を利用したカードラントリアセテートの結晶解析
第4部 流動場における高分子結晶化と構造解析
(2016年9月28日 15:50〜17:10)
高分子を成形、加工する際には「流動」や温度変化などを伴い、結晶化して材料を作成する。本発表では、高分子の成形加工前後、および成形加工中の結晶化挙動について、詳述すること高分子の流動場を利用した高機能化について述べる。
- 高分子構造解析の基礎
- 構造解析手法概論
- 顕微鏡法
- 顕微鏡の仕組み
- 光学顕微鏡
- 電子顕微鏡、AFM
- 散乱の手法
- 散乱の基礎
- X線散乱
- 大型施設の利用
- 自分で組み立てる光散乱装置
- 分光法・熱的・力学的手法
- 高分子の結晶化について
- 高分子の結晶とは何だろうか?
- そもそも高分子の結晶化では何が起こっているか?
- 結晶成長プロセス
- ラメラ成長プロセス
- 核形成について
- 流動が及ぼす影響についての議論
- 静置場と流動場の相違
- 流動場での結晶化プロセス
- 高分子鎖の変形
- 流動場での結晶化の実例
- その他延伸プロセスでの結晶化
- 材料の高性能化および劣化についての議論