第1部 いまさらきけない。蛍光体・波長変換材と色と光の入門
(2016年8月31日 10:30〜12:00)
蛍光体は、無機あるいは有機材料 (母体) の中に発光をつかさどるイオン (発光中心) を微量添加した物質で、蛍光灯やテレビなど、様々な用途に用いられている。蛍光体は、発光ダイオードのように、それ自身が電気エネルギーを光に直接変換する主役を演ずるわけではないが、外部から光エネルギーを受けて、波長の異なる光に変換する性質を持っており、さまざまな色合いの光を作り出すのに欠かせない、名脇役的な存在である。本講演では、色とは何か、生物の目は光の色をどのように知覚しているのか、LEDや蛍光体はなぜ光るのかなどの話を分かりやすく解説する。
- 色と光の関係
- 色は何から生じるか
- 光の色、物体の色
- 色が見える仕組み
- 光の三原色と色の三原色
- 色のある光をつくる
- 発光ダイオード (LED)
- ルミネッセンスと蛍光・燐光
- 蛍光体
- 色度図と色チューニング
- 構造色
第2部 蛍光体ビジネスに必要なLED用蛍光体の材料・技術・市場の最前線
(2016年8月31日 12:50〜15:20)
LED用蛍光体はバックライトやLED照明で使用されている重要な部材でありながら、正確なマーケット情報がないために、新規材料の開発状況やリモートフォスファーなどの新しい構成部材についての将来展望を大多数の新規参入研究者は理解できていない。
LED蛍光体は、従来の蛍光体産業とは全く異なるビジネスモデルを取っており、正しい技術情報およびマーケット情報は、世界中の研究者と企業を直接訪ねなければ得られない。
本講演では、現行の白色LED 用蛍光体の長所と欠点だけでなく、それを解決するための新規蛍光体への取り組みを自身のグループだけでなく世界的な動向も含めて、講演者が実際に直接的にコンタクトした生きた情報として幅広く解説する
- 蛍光体の設計に必要な基礎知識
- 光と物体色の関係 照明とディスプレイ用蛍光体にいわれる一般的な違いと実際の設計
- エネルギー移動や対称性制御による狭帯域発光する蛍光体の開発
- 蛍光体設計に必要な結晶学および固体化学の基礎知識
- Opticsとしての蛍光体の形態制御
- 現状の白色LED蛍光体、その長所と欠点 (照明、バックライト、その他)
- 黄色 (Y、Gd) 3 (Al、Ga) 5O12:Ce (日亜化学) 黄色蛍光体のスタンダード
- 黄色 (Ba、Sr、Ca) 2SiO4:Eu (豊田合成) 劣化問題はコーティングで解決も、残るは熱特性の問題
- 黄色α-Caサイアロン:Eu 赤みの強さを活かす用途は欧州にあり
- 赤色 (Ca、Sr) 2Si5N8:Eu 劣化問題の原因と高い効率を活かした将来性
- 赤色 (Ca、Sr) AlSiN3:Eu 特許問題はどうなったか
- 緑色β-サイアロン:Eu バックライト用緑色蛍光体のスタンダード
- 赤色K2SiF6:Mn (Ca、Sr) AlSiN3:Euに対するキラーマテリアル
- 新蛍光体について (量子ドットなど)
- LED用蛍光体のマーケットと日本、中国、台湾、欧米での開発状況
- ハイパワーLEDおよびLD (レーザーダイオード) 対応高温蛍光体が現在のトレンド
- 部材としてのLED用蛍光体 ガラス封止やフィルム化 その技術的な課題と解決方法
- 太陽電池用波長変換膜へのLED用蛍光体の転用 安価なナノ化技術の開発が課題
- 新しいLED用蛍光体の合成方法
- LED用蛍光体のマーケットと既存会社および新興企業の動き
- 国内蛍光体メーカーと中国、欧米、台湾メーカーの状況
- 世界における蛍光体の研究状況
第3部 蛍光体を取り巻く韓国企業のビジネス事情
(2016年8月31日 15:30〜17:00)
1998年白色LEDが開発されて以来、日本だけではなく、世界の各国で白色LED用新規蛍光体の開発に関する研究が活発に行われている。韓国においても、蛍光体メーカでの主な蛍光体材料は既存の蛍光ランプ用あるいはPDP用蛍光体から白色LED用蛍光体にその流れが変わってきている。韓国は日本に比べ、蛍光体メーカ企業や蛍光体の開発に関する研究を行っている機関は少ないが、SAMSUNG電子やLG電子などの大手の企業を対象とする研究が活発に行われている。
そこで本講演では韓国における蛍光体ビジネスの現状と各蛍光体メーカ企業の状況、および国内の蛍光体研究者やその状況について、講演者が実際に得た情報に基づいてご紹介する。
- 韓国における蛍光体のビジネス状況
- SAMSUNG電子のビジネス状況
- 蛍光体の内製を中止か
- 量子ドットに対する取り組み
- LG電子のビジネス状況
- 有機ELディスプレイの開発
- SAMSUNGとの開発動向の違い
- Daejoo Electronic Materials 「高い能力を持つ蛍光体メーカ企業」
- 蛍光体事業の成り立ちとその開発能力
- 開発における課題
- FORCE4 「白色LED用蛍光体の国産化に向かう」
- 蛍光体事業の成り立ちとその開発能力
- 最近のニュース
- UJL「白色LED用蛍光体の新生企業」
- SAMSUNGの蛍光体事業を買い取り
- 会社の状況と将来性
- 韓国内の蛍光体研究者および研究状況
- 韓国の蛍光体に関する学会
- 韓国における蛍光体研究者
- 世界とのつながりと韓国における蛍光体開発の将来
第1部 超高輝度・ハイパワー白色光源用単結晶蛍光体とその特性
(2016年9月27日 10:30〜12:00)
青色LEDや青色LDを光源とする超高輝度白色照明の開発が活発に進められる中、これらに対応する蛍光体が強く望まれている。本講演では単結晶を用いた蛍光体である単結晶蛍光体を紹介し、その高い量子効率と温度安定性、高輝度光照射下でも温度上昇が低いなど、各種の特性について解説する。
- 超高輝度光源の動向
- 青色LED・LDを用いた高輝度光源
- 高輝度化に向けた蛍光体
- 単結晶蛍光体
- 単結晶蛍光体の概要
- 黄色発光単結晶蛍光体
- 緑色発光単結晶蛍光体
- 赤色化に向けた取り組み
- 粉末化した単結晶蛍光体
- 高輝度化への取り組み
第2部 希土類セラミックスによる蛍光体変換型LEDの光源効率の支配因子と向上技術
(2016年9月27日 13:00〜14:30)
白色LEDの高出力化と一般照明への展開に伴い、高い耐熱性、発光効率を有する無機蛍光体への期待が高まっている。本講演では、蛍光体変換型白色LEDに用いられる代表的な希土類蛍光体、セラミック蛍光体について、固体と発光中心の電子準位、発光機構、発光波長、効率の支配因子と特性評価法について解説する。
- 固体照明と白色LED
- 白色LEDの種類
- 蛍光体変換型LEDと希土類蛍光体
- 希土類ドープ蛍光体材料における光学遷移
- 元素の周期律と電子軌道
- 4f,5d電子軌道の特徴
- f-d電子遷移とその応用
- 輻射、無輻射遷移と内部量子効率、蛍光寿命
- 蛍光体量子収率とLED光源効率
- Ce (III) ガーネット蛍光体
- Ce3+の電子準位とガーネット結晶ホスト
- 高出力化に向けたセラミック蛍光体
- 発光効率の温度消光とその原因
- 積分球測定の実際
- 全光束測定の重要性
- 誤差の原因と留意点
- 自己吸収補正とは?
- 蛍光体の量子収率の求め方
第3部 最新の合成・製造技術によるナノ蛍光体創製と評価、および太陽電池・ほか各種デバイスへの応用
(2016年9月27日 14:45〜16:15)
近年注目されている酸化物や硫化物などの機能性ナノ材料 (蛍光体) の溶液合成に関するノウハウと、その評価方法について解説します。さらに、それらを用いた最新デバイス、例えば太陽電池用波長変換膜、LEDなどライティング関連、ディスプレイ応用について実際のデータを用いて解説します。新規ナノ材料、デバイスを一から初めようとしている方から、現在最新の合成技術を身に着けたい方までを対象に幅広く説明させて頂きます。
- 無機蛍光体の基礎 (概要)
- 蛍光体とその応用
- ナノ蛍光体とは
- 蛍光体の開発課題
- 溶液合成法について
- 溶液合成法の基礎
- 白色LED用蛍光体の溶液合成法
- ナノ蛍光体の合成方法
- 最新の蛍光ナノ粒子製造技術
- マイクロリアクターの基礎と技術応用
- マイクロ波合成の基礎と技術応用
- コンビナトリアル化学の基礎と技術応用
- 太陽電池用波長変換膜・ほか各種デバイスへの応用
- 蛍光ナノ粒子を用いたデバイス
- 太陽電池用波長変換膜とは
- 市場予測とコスト試算
- 波長変換膜の製造方法
- 光学評価方法と最新データ
- 他のデバイスへの応用
- まとめ