薄膜・材料表面の機械物性を全般的に評価できる手法として、様々な最先端のナノインデンテーション技術とその活用法を紹介する。
一般的に広く応用されている薄膜硬さ・弾性率計測手法に対する理解を深めながら、材料表面・局部における、降伏強度、粘弾性特性、材料強度 (S-S曲線) 、摩擦特性、密着性の計測について、基礎から最先端の定量計測技術までしっかり解説し、最新実用薄膜材料の応用例を紹介する。
- ナノインデンテーションの気持ちとユーザー姿勢
- ナノ物性計測とものづくりへの期待
- ナノインデンテーション法と荷重-変位曲線
- 計測技術に対するユーザー姿勢
- 基本接触 (Meyer’s Law, Hertzian Solution, Sneddon’s Solution)
- 基本接触:荷重-変位曲線図
- Meyer’s Law:材料定数と圧子径の関係
- 球状圧子の弾性接触解:Hertz solution
- 弾性接触解: Sneddon’s solution
- 圧子の剛性・形状 (Tip rigidity and Geometry)
- 圧子の剛性と複合弾性率
- 圧子幾何学的形状:One Pointed とSmooth axisymmetric
- Berkovich 圧子 (One pointed フォーム)
- Cube-corner 圧子 (One pointed フォーム)
- Conical 圧子 (One pointed フォーム)
- Spherical 圧子 (Smooth axisymmetric フォーム)
- 硬さ・弾性率計測 (1) (原理編:Oliver-Pharr手法と影響因子)
- インデンテーション硬さの定義
- OliverとPharrの硬さと弾性率
- OliverとPharrの提案:接触面積と接触深さ
- コンプライアンスと圧子先端形状の影響
- 重要な関係:システムのコンプライアンスと接触面積
- 圧子先端丸みの評価:エリア・ファンクション
- 実際応用時の予備知識と経験
- ナノメートルスケールのサイズ効果
- 材料微細構造と計測スケール効果
- 試料サイズと計測スケール効果
- 基板影響:膜厚と計測スケール効果
- 計測誤差レベルと基板影響
- 圧子径と試料表面の影響
- Pile-upとsink-inの影響
- ビッカース硬さとの相関
- 手法の限界と可能性
- 硬さ・弾性率計測 (2) (応用編:高温計測事例、CSM計測事例)
- 高低温ナノインデンテーション法
- 計測法の信頼性の検証
- ソフト薄膜材料への適用
- 熱的安定な分子構造を持つ薄膜の測定事例
- 熱的不安定な分子構造を持つ薄膜の測定事例
- CSM (continuous stiffness measurement) 法
- SCMの計測原理と応用事例
- 異なる荷重方式と基板影響
- 降伏応力・弾性率計測 (球状圧子法と応用事例)
- 球形インデンテーション法
- 弾性・塑性的接触
- ミーゼス (von Mises) とトレスカ (tresca) の臨界条件
- インデンテーション時の降伏臨界条件
- 溶融シリカの降伏応力の測定
- 測定事例
- Cu薄膜の降伏応力・弾性率の結晶異方性
- 熱的不安定な分子構造を持つ薄膜の測定事例
- 粘弾性計測 (原理、手法と応用事例)
- 時間依存インデンテーション法原理・基本手法
- 押し込みの時間依存:粘弾性材料
- 履歴積分演算子と荷重の時間関数
- せん断複素コンプライアンス
- 単軸複素コンプライアンス&単軸複素弾性率
- クリープコンプライアンス
- 時間依存インデンテーション法の温度分散計測、応用事例
- 環境制御と温度分散計測の実現
- ナノ粘弾性計測法の信頼性の検証
- 樹脂の微小劣化部の粘弾性測定事例
- S-S曲線 (加工硬化指数) 計測 (dual indentation法と応用事例)
- Dual indentation 法の原理・基本手法
- 応力とひずみ曲線: 加工硬化率・指数
- 等価応力、等価ひずみと代表ひずみ
- ひずみ8.の圧子角度依存性
- 測定事例:引張試験結果との比較
- Nanoscratch法 (摩擦、摩耗、密着性の評価)
- ナノスクラッチ法の特徴
- 垂直力一定モードと垂直力変化モード
- ナノ摩擦係数評価事例
- 薄膜密着性評価事例
- 計測時の注意点