市場競争力を備えた高分子組成物の設計には、さまざまな技術と知識が求められます。今回のセミナーでは、今まで扱われることの少なかった[組成物設計と製造に必要な基本的な技術]を中心軸に据えてプログラムを構成しました。プラスチック・エラストマー・接着剤・塗料などの分野が主な技術領域となります。
経験則が幅を利かす“混練”や“加工”といった技術領域は、業歴が長い企業であればあるほど第三者による検証機会に恵まれていません。このため「井の中の蛙」「独善的」「旧態依然」という形容の似合う、好ましくない技術環境に陥りやすいのも事実です。
本講座では科学的視点を忘れることなく、組成物に必要な共通項的基本技術と必要な情報を取り上げます。この分野の技術者であれば、初心者やベテランといった経験年数に関係なく、“再認識”と“新たな気づき”に富む時間になることを講義の目的としています。
第1講 『フィラー配合に必要な知識と技術と選択眼養成』
(2016年11月10日 10:30〜16:30)
- 基本的なことを自問する
- なぜフィラーを配合するのか
- 代表的属性と組成物への影響
- 「混ざりやすい」と「混ざりにくい」どこが違うのか
- フィラーメーカー発の技術情報を正しく解釈する方法
- 基本フィラーの性質と配合効果
- 炭酸カルシウム
- シリカ
- カーボンブラック
- 使えるフィラーの種類を増やす
- 難燃設計に効果的なフィラー
- 特殊形状をアピールするフィラー
- 名前は知られている古参フィラー
- 特定機能を有するフィラー
- 混ぜる意味から技術を磨く
- 検討自体が無駄となるだけのフィラー
- カップリング剤の作用機構と限界
- 均一分散の物理と化学
- 分散向上技術情報との距離感の確立
第2講 『混練技術向上の論点』
(2016年11月11日 10:00〜12:30)
- 組成物混練の目的と考え方
- 組成物における混練の意味
- エラストマーにおける既存混練方法再考
- 危うさ満載 混練装置メーカー&大学発の混練論
- 実践的 ストレーニング技術
- 混練技術に必要な情報と科学
- 界面歪のメカニズムと制御技術
- 養生技術:つまり「時間が練る」という効果
- 練過ぎと練不足の境界
- バッチ化混練法の功罪
第3講 『配合設計応用力の着眼点』
(2016年11月11日 13:30〜16:00)
- 特性付与の配合論
- 耐熱性向上の配合設計 – ポリマー選択とラジカル捕捉
- 明色耐候性の配合設計 – 顔料の基礎と老防の限界
- 接着性の配合設計 – メカニズム理解と極性付与
- 応力緩和の配合設計 – ダンピングファクターと内部構造
- 加工性付与の配合論
- ”水分“主犯の加工性不良現象と対応策
- 液系組成物 (塗料・インキ・接着剤・コーティング) 配合の基本
- 線速別 押出加工性向上の着眼点
- 別格難度 カレンダー加工性制御技術