第1部 白金触媒担持酸化タングステン薄膜を利用した分布型水素センサ
(2016年8月29日 10:30〜12:10)
近年、燃料電池自動車の市販開始や水素ステーションの建設等、水素エネルギー社会の実現に向けた動きが本格化している。さらに、これを見据えた様々な要素・周辺技術やそれらを統合した水素利用システムの研究開発も一層勢いを増している。
しかし、水素利用にあたっては十分な安全対策を施すことが必須であり、水素センサデバイス及びセンサシステムの開発は極めて重要な課題といえるが、センサを適用するシステムの種類、規模、使用される環境によって水素センサに求められる性能も異なるため、そのニーズは多様であり、きめ細かな技術開発が要求されるものと想定される。
本講座では、既存のスポットセンサでは実現が難しい水素漏えいの空間的分布計測を可能とするセンサ技術について解説する。
- 光ファイバの構造
- 光ファイバ化学センサの種類と原理
- オプトロード
- マイクロベンディング損失を利用した手法
- FBGセンサ
- エバネッセント波吸収型センサ
- 光ファイバガスセンサの近年の開発動向の紹介
- 光ファイバセンサの分布計測への応用
- 分布型センサの種類と原理
- OTDR技術を応用した分布型光ファイバセンサ
- 分布型光ファイバガスセンサの問題点と課題
- 白金担持酸化タングステン薄膜を用いた分布型光ファイバ水素センサ
- 水素感応膜の特性
- 作成方法
- センサデバイスの応答特性
- 分布型水素センサとしての特性評価
- その他の分布型水素センサデバイスの開発状況
- まとめ
第2部 超薄膜水素センサの作製技術と安定性改善
(2016年8月29日 13:00〜14:40)
白金を超薄膜にすると水素に対する抵抗変化が得られることを初めて報告した。この特性を用いた水素センサの特長は、室温動作できるところと、製造プロセスが簡単であることが挙げられる。
- 水素センサの社会ニーズ
- 各種水素センサの比較
- 白金薄膜の水素に対する仕事関数、抵抗等の物性変化
- 仕事関数利用の水素センサ
- FETの構造、動作原理
- 水素応答特性
- 湿度影響の改善
- 抵抗特性利用の水素センサ
- Pdとの比較
- 水素応答の膜厚依存性
- 高感度化のための白金の超薄膜化
- 超薄膜白金の水素温度特性
- 温度特性改善
- 接着性改善
- まとめ
第3部 導電性ZnOによる高速応答水素ガスセンサ
(2016年8月29日 14:50〜16:30)
本講座では、H2センサー、特に半導体式 H2 センサーについては、根幹となる酸素吸着の観点から、課題をも含めた特徴・特長を解説する。H2 が有する特性を考慮し、物理的 (熱伝導度や赤外吸収など) 或いは化学的性質によってH2 を間接的に検知するセンサーは、これまで多くの研究開発がなされてきてその一方で、検知の温度依存性などの理解は混沌としている。
本講座では、材料物理・化学を専門とし、薄膜形成技術、薄膜特性評価技術に対する多くの経験から、明らかなH2センサー機構に対する明らかな面と不確かな面とを峻別し、今後の方向性を探る内容としてまとめる。
- 来る水素社会と日本の役割
- 可燃性ガス:水素ガスの特徴
- 米国での関連技術に関する情報
- 自動車基準調和世界フォーラムにおける日本の方針
- 従来の水素センサー
- 各種水素ガスセンサー:物理現象を利用するものと化学現象を利用するもの
- 化学現象を利用する水素ガスセンサー
- 吸着機構、反応機構、選択的な膜透過機構
- 半導体水素センサーの特徴
- なぜ、半導体なのか
- 使用されてきた半導体の特徴:形態、電気特性、環境依存性など
- 水素ガスセンサーにおける検知機構
- 水素ガスセンサーにおける検知機構に対する阻害因子
- 検知機構から判断される半導体水素ガスセンサーの優位性と課題
- 導電膜による半導体水素センサーの特徴
- なぜ、導電膜を利用するのか
- 多結晶導電膜における導電性機構
- 多結晶導電膜における導電性機構と水素ガスセンサーにおける検知機構
- 多結晶導電性薄膜の薄膜製造方法
- 多結晶導電性薄膜を基材とする水素ガスセンサー特性
- 多結晶導電性薄膜を基材とする水素ガスセンサーの優位性と課題
- 多結晶導電性薄膜を基材とする水素ガスセンサーの課題解決策
- 今後の展望