第1部. 遺伝子改変マウス作製のための遺伝子改変技術の最新動向
(2016年8月4日 10:30〜12:00)
トランスジェニックマウスやES細胞を利用した遺伝子破壊マウスの作製技術は20世紀後半に確立され、遺伝子機能の解析のための強力なツールとして、医学生物学研究の発展に大きく貢献している。最近ではゲノム編集技術が遺伝子改変マウス作製にも応用できるようになり、ヒトの遺伝子変異をもつ遺伝子改変マウスの作製が容易になったことから、研究ツールとして、遺伝子改変マウスはさらに存在感を増している。
本セミナーでは、遺伝子改変マウス作製法および研究への応用例を概説し、特に、ゲノム編集技術が遺伝子改変モデル動物作製技術に与えているインパクトを解説する。
- モデル動物としてもマウス
- トランスジェニックマウス作製技術
- トランスジェニックマウスの研究への応用
- ES細胞を利用した遺伝子破壊マウス作製技術
- ES細胞を利用した遺伝子破壊マウスの研究への応用
- ゲノム編集技術の原理
- ゲノム編集による遺伝子改変マウス作製技術
- 遺伝子研究に対して、ゲノム編集が与えるインパクト
第2部. 最新技術動向をふまえた遺伝子改変動物作製の効率向上
(2016年8月4日 12:40〜14:10)
近年、ゲノム編集技術の登場により、様々な実験動物において簡単、低コストかつ短期間で遺伝子改変動物を作製できるようになった。本講演では、ゲノム編集を用いた効率的な遺伝子改変マウス・ラットの作製法、疾患モデルへの応用について紹介する。
- 実験動物における遺伝子改変技術
- ゲノム編集技術 (ZFN,TALEN,CRISPR/Cas9) の概要
- CRISPR/Cas9を用いた効率的な遺伝子改変動物の作製法
- 標的配列の決定、gRNAの設計
- CRISPRコンポーネントの受精卵への導入
- 遺伝子改変動物の同定法と維持
- 標的配列認識の特異性
- 一本鎖オリゴを用いた遺伝子改変
- プラスミドを用いた遺伝子改変
- 効率的な受精卵への導入法
- 遺伝子改変動物の疾患モデルへの応用
第3部. ヒト化動物の作製を成功させる遺伝子改変技術のコツ
(2016年8月4日 14:20〜15:50)
ヒト遺伝子を保有するヒト化動物は、動物モデルの‘種差’の問題 を克服することができる。本セミナーでは、近年急速に進歩している‘ゲノム編集技術’を用いたヒト化動物の作製方法について、討論したい。
- 実験動物モデルにおける‘種差’
- ヒト化動物とは
- これまでの遺伝子改変動物
- ゲノム編集技術の登場
- CRISPR/Cas9による遺伝子改変マウスの作製法
- 一本鎖DNA (ssODN) によるヒト点突然変異のノックイン
- 長鎖一本鎖DNA (lsODN) を用いた効率的なヒト遺伝子ノックイン
- 2H2OP法による大きな染色体領域 (BAC) のノックイン
- 3H3OP法によるヒトとマウスの遺伝子置換
- ゲノム編集技術によるヒト化動物作製の未来
第4部. ヒト化マウスを用いたヒト型実験システムの開発
(2016年8月4日 16:00〜17:30)
マウスにヒト細胞や組織を生着させた「ヒト化マウス」は、医学、創薬研究ツールとして有用な実験動物である。当研究所では、重度免疫不全NOGマウスにヒト造血幹細胞を移入し、ヒト造血系、免疫系の生理状態を再現する「免疫系ヒト化マウス」の開発を行ってきた。
本講演では、「ヒト化マウスを用いたヒト型実験システムの開発」というテーマのもと、ヒト化マウス研究の歴史と変遷、現状どこまで進化したか、あるいはどのようなヒト疾患を再現できるのか、その利用価値や限界などについて免疫系ヒト化マウスの話題を中心に解説する。
- 免疫不全マウスの歴史
- 超重度免疫不全NOGマウスの開発
- ヒト免疫系を有するヒト化マウスの開発
- 第一世代ヒト化マウスの問題点・限界について
- 第二世代ヒト化マウスの開発:ヒトサイトカインを遺伝子導入したヒト化マウス
- ヒトアレルギーを発症するヒト化マウスモデルの作製
- ヒト化マウスを用いた移植片対宿主病 (GVHD) モデルの作製
- ヒト化マウスを用いた癌免疫研究への応用
- 新たな遺伝子改変技術によるヒト化マウスの樹立について