(2016年7月25日 10:40〜12:00)
自動車が暴走して歩行者に突っ込む事故など、ドライバーの病変が原因で惨事に結びつく事例が最近多発しています。一方、自動運転では、どのような時に自動で走行し、どのような時にドライバー自身が制御するマニュアル走行をするか、その切替手法について検討されています。両者のキーになる技術として、ドライバーモニタリングシステムが考えられます。ドライバーの状態を常に監視・管理し、運転に不適切な状況の場合は車両を制御する、自動運転に切り替えることで、事故の防止や、シームレスな制御切り替えが実現できると考えられています。 この講演では、ドライバーモニタリングの役割について解説し、現状、どのような技術や検出手法があるか、詳しく説明します。
(2016年7月25日 13:00〜14:20)
意識消失事故の運転者の多くが高血圧を有しており、その直接の事故原因として心血管系の疾患が挙げられている。高血圧は動脈硬化・心血管病の主因であり、その予防、早期発見・治療は重要である。血圧管理において毎日の血圧測定とその変動の把握のために、近年種々のタイプの血圧測定法が提案されている。運転の妨げにならないカフレス血圧測定技術とその有用性を示す。 社会の24時間化に伴い、眠りに費やす時間は減少している。睡眠時間の短縮、睡眠・覚醒リズムの乱れは、眠気・疲労感の増大、注意や記憶力の低下をもたらす。その結果、交通事故や産業事故を引き起こす。睡眠障害・睡眠薬と運転技能および睡眠時無呼吸症候群と交通事故との関係について述べ、我々の開発した居眠り検知技術を紹介する。
(2016年7月25日 14:35〜15:55)
重大事故の最大原因はヒューマンエラーと言われており、居眠りや脇見といったドライバの不安全状態をセンシングすることの重要性が高まっています。当社では、ドライバの状態をカメラ画像により検知し、衝突安全ブレーキの先出しを支援するセンサを開発、すでに大型トラックおよび大型バスで実用化されています。またこのセンサは衝突危険性がない場面においてもドライバの異常を検知し警報するアプリケーションとしても使われております。このような機能をユーザに受け入れてもらうには、誤警報をいかに低減するかが重要なポイントになります。画像処理を用いたドライバーセンシングの開発事例は多くありますが、太陽光や個人差、メガネ着用などの影響下で安定して検知できることが強く求められます。 本講演ではその開発事例について説明いたします。さらに今後は高度運転支援車両への搭載が期待されています。乗用車向けのドライバーモニターでは、これまでの安全安心機能に加え、利便快適機能も求められることが予想されます。センサ用途を拡充することは歓迎されますが、ロバスト性の低いセンサで誤警報や誤作動を誘引しユーザの不信感を招かないようシステム評価の重要性を訴えます。
~自動車運転時の生体情報の計測・解釈とその応用~
(2016年7月25日 16:10〜17:30)
センサの小型化、高性能化にともない、生体情報モニタリングの応用が注目されている。これまでは主にステアリングやペダル等の車両情報の変化からドライバの状態を推定しており、その精度は十分とは言えなかったが、最近では、ドライバの生体情報を用いることで高精度に状態を推定し、さらには予測技術まで登場してきている。 本講演では、最新のドライバ状態推定・予測技術に関して紹介するとともに、生体情報の計測・解釈とその応用について現状と課題、今後の展望について解説する。