第1部 高圧水素ガス中での材料評価技術
(2016年8月4日 10:30〜12:10)
高圧水素ガスに曝された材料の強度や延性が低下する現象は水素脆化と呼ばれ、貯蔵タンクの安全性を低下させる。この脆化現象を克服するには高圧水素ガス中での評価試験が必須である。
本講座では、弊社が保有する試験機を中心に、高圧水素ガス中での曝露試験・引張試験・疲労試験による材料評価技術、高圧での圧力容器の評価技術、拡散性水素の分析ついて、評価事例を交え紹介する。
- 鋼の水素脆化
- 鋼中への水素侵入
- 鋼中での水素の特異な状態
- 水素脆化のメカニズム
- 高圧水素ガス中での評価技術
- 高圧水素ガス中での曝露試験
- 評価事例「一定荷重下での鉄鋼材料のき裂進展に及ぼす水素の影響」
- 高圧水素ガス中での引張試験
- 評価事例「各種材料の引張強度に及ぼす水素の影響」
- 高圧水素ガス中での疲労試験
- 評価事例「繰り返し荷重下でのステンレス鋼のき裂進展速度に及ぼす水素の影響」
- 水素ガスを用いない評価技術
- 高圧容器の評価技術
- 拡散性水素の分析
第2部 水素ガスバリア膜の開発とバリア性、水素耐性向上
(2016年8月4日 13:00〜14:40)
水素エネルギーの導入が積極的に進められているが、これにともない、高圧・低圧、高温・低温などの様々な条件下で金属系・無機系・ポリマー系を含む多くの材料と水素とが接触する状況が格段に増えた。
水素は金属材料の機能性や安全性を阻害する場合がある。鉄鋼材料では、高強度ほど水素脆化しやすいことが知られている。材料特性や安全性を維持・向上する観点から、水素バリア機能を付与する技術開発が始まっている。
本講演では、水素エネルギー社会実現に向けた様々な動向を意識しつつ、水素が材料特性に及ぼす影響、バリア技術の基礎、水素バリア機能の評価方法、機能薄膜と生成プロセスの各論について平易に解説する。
- はじめに
- 水素エネルギー社会
- 水素と材料
- ガスバリア機能とその評価
- ガス透過のメカニズム
- ガスバリア機能の評価
- 水素バリア機能薄膜材料
- 薄膜生成プロセス
- 各種皮膜の特性
- 薄膜材料の微細組織
- おわりに
第3部 燃料電池自動車市場における各種の高圧水素貯蔵用炭素繊維強化複合容器の設計・要求課題と開発動向
(2016年8月4日 14:50〜16:30)
本講座では、燃料電池自動車に水素を供給するシステムを構成する、燃料電池自動車搭載用、水素ステーション蓄圧器用水素貯蔵用高圧容器の要求仕様、関連する技術基準、各種高圧容器の製造方法、要求仕様、各種高圧容器の設計・開発動向と技術課題について解説する。
- はじめに
- 水素の供給プロセス
- 各種の高圧水素容器
- CFRP高圧複合容器の製造方法
- アルミニュウム合金 (A6061) ライナの製造方法
- ブラスティックライナ (PL) の製造方法
- CFRP層の製造方法
- 水素の急速充填時の温度挙動
- これまでに実施された各種の高圧水素関連安全性評価試験
- CFPP複合容器への要求仕様
- 各種の試験項目とその目的・概念
- CNGV及びFCV搭載容器用技術基準の比較
- CFRP複合容器の設計上の留意点
- CFRP層の設計
- Type3ライナ用アルミニュウム合金 (A6061-T6)
- 水素脆化
- Type4口金用ステンレス
- 水素脆化
- Type4ライナ用プラスティック
- 低熱伝導率
- 水素透過性能
- 繰返し高圧水素環境下でのプラスティックライナの耐久性
- 水素ステーション用蓄圧器の設計上の留意点
- 水素脆性
- Type1及びType2容器の導入事例
- 今後の課題
- 海外の技術基準の動向
- 規制緩和への取組
- 鉄鋼材料の蓄圧器用高圧水素容器への適用
- Type4容器用プラスティックライナの耐久性の検証と開発
- まとめ