二軸押出機・混練機やミキシングエレメントを有する単軸押出機を用いて高分子材料の混練がなされている。また、押出機・混練機内の材料挙動をシミュレーションにより予測する技術は年々進歩しており、実現象予測には制約も多くあるが、混練を含めた実際のプロセス設計、装置設計に応用されてきている。
本講では、固体輸送、溶融、溶融体輸送と混練に関して基礎理論をわかりやすく解説するとともに、それに基づく実験およびシミュレーションを用いた混練評価およびスケールアップについて現状と課題を概説する。
- 背景
- 押出機・混練機の概要
- 計算機シミュレーションの必要性
- 固体輸送メカニズム
- 溶融部における高分子材料の溶融メカニズム
- 溶融プロセスの可視化
- 溶融理論
- 溶融混練部の混練メカニズム
- 分配混合と分散混合
- 伸長流動の重要性
- ポリマーブレンド・コンポジットの混練理論
- 押出機・混練機と溶融混練理論の関係
- 単軸スクリュ押出機内の溶融混練
- 溶融混練理論とミキシングスクリュの関係
- 新規装置
- 二軸混練機・二軸スクリュ押出機内の溶融混練
- 溶融混練理論と二軸混練機・スクリュ押出機の関係
- 溶融混練に付随する問題と対策
- 新規装置
- 実験による混練評価
- 既往の評価実験の例
- 最近の計測技術の研究例
- 各種実験の利点と問題点
- 計算機シミュレーションによる材料挙動の予測
- 計算機シミュレーションの利点と問題点
- 固体輸送部のシミュレーション
- 溶融部のシミュレーション
- 溶融体輸送部のシミュレーション
- シミュレーションによる混練評価
- 分配混合指標とその考え方
- 分散混合指標とその考え方
- 各種評価指標を用いた研究例
- スケールアップとシミュレーション
- スケールアップの一般論
- シミュレーションによるスケールアップの研究例
- 今後の課題
同方向回転二軸押出機は、スクリュエレメントとバレル (オープンバレル、サイドフィードバレル、液添バレル) が任意に組めるという特徴を持っている。そのため、該押出機は、粉体強化材、繊維状強化材、各種樹脂と液状添加剤を任意の位置から供給することができるので、高性能化・高機能化した樹脂組成物の生産に適している。
このスクリュ構成は、スクリュエレメントを任意に組めるが故に、各スクリュエレメントの混練要素を理解せずに、トライアンドエラーで取り組むとその数は膨大になり、それに費やす時間も長くなりやすい。
ここでは、スクリュ構成を組むときに必要な各種スクリュエレメントの5つの混練要素の解説とその応用事例について、解説する。
- 同方向回転二軸押出機の装置概要と開発の歴史
- 高機能同方向回転二軸押出機の例
- 同方向回転二軸押出機の開発の歴史
- 同方向回転二軸押出機の混練要素について
- スクリュの充満率
- スクリュの圧力特性
- 樹脂温度計算
- スクリュエレメントの混・練、混練のスケールアップの考え方
- 押出機のシミュレーションの計算例
- 押出機の操作条件による混練条件
- 応用事例
- パウダー状樹脂のスクリュ構成による押出量の比較
- スクリュ構成を改良して、溶融粘度比が大きな樹脂同士の分散性改良
- 混練ゾーンとベントポートの距離が短いためベントアップする適用例
- ベントインサートの改良によるベントアップ防止の実用例
- 液状添加剤と溶融樹脂のスクリュエレメントによる混合効果
- 高速回転・高トルク押出機のダイ部の設計
- 押出機シミュレーションソフトの活用 (スケールアップ事例)
EFMによる3D解析が2軸押出機内の樹脂流動解明を可能にしつつある現状は好ましいが、しかし分散現象、品質解析はおぼつかない。分散品質を得るために、実際の品質関連挙動をもう少し詳しく解明する必要がある。最近の研究を紹介する。従来困難であったHMWPEの分散が可能になり、二軸押出機操作全体を1つの系としてみた場合の品質予測ができるようになった。また、分散作用における最適せん断速度の存在理由も解析できた。こうした混練分散品質に関連する最近の研究を紹介する。
- フィラーのせん断分散性に関する最近の解析傾向
- これまでの研究・開発では破砕分散性に重点を置き過ぎた
- 分配分散性をもっと見直すべき
- 分配分散の二面性
- 送り込み分配分散 … せん断破砕分散と同居する
- どういう役目か、どのようにコントロール、評価するのか
Blister Ring, Ring Segment, 絞り機構の応用、T関数の応用
Ring、絞りには、伸長流動分散効果の副次効果がある
- 伸長流動分散の均一性が今後大きな分野に発展する可能性がある
米国のVane Extruderなど分散機構の3分類
せん断流動、伸長流動の共存流動における分散性
HMWPEがHDPE中で分散した (相対粘度≧4.0でも可能)
- メルトフラクチャを送り込み分配分散に応用する
- まき散らし分配分散 … 単独で作用する
- どういう役目か、どのようにコントロール、評価するのか。
Gear Elementなど … 欧米の方式
CTM, Static Mixerなど … 日本の方式
- 橋爪の5段階分散モデル:Palmgrenの4段階モデルとの比較
- せん断破砕分散、せん断分配分散の品質評価実験
- Ulrichの2軸押出機解析モデル (2Dimension Model)
- 無次元数Λの応用
2軸押出機の大略の挙動解析ができる
- せん断破砕分散、分配分散の品質評価実験のやりかた
- 同じ材料を用いるなら両分散水準が予測できる技術ができる
スクリュー設計を変更しても解析できる
異なる材料 (粘度比対応) に対しては相対分散評価が出る
- 凝集破壊に関する最近の解析 (被分散相に注目する)
- 凝集粒子の破壊力は、凝集次数と凝集粒子径の関数である
CBでの解析結果
- バウンドラバー、バウンドポリマーとナノ分散との相関
- 材料の機械強度が向上する現象解明
- コンパウンドの場合
限界粒子間距離が関与する。粒子径は直接関与しない
両粒子上のSticky Hard 層の高分子が絡まる。接触ではない。
- ポリマーアロイの場合
各粒子が相互に流路干渉することによる。
- Shear Thinning流体とShera Thickening流体
- 分散後の材料粘度ではなくて、分散中の材料粘度が問題
<分散後の材料粘度はShear Thinning流体>
- コロイドだけではなく、コンパウンドでもこの流動形態変化現象がある。
コロイドでは、Newtonian→Shear Thinning→Newtonianが多い
CBコンパウンドでは、CBコロイド溶液と同じで、
Shear thinning→Shear thickening→Shear Thickeningとなる
- 流動形態の変化は何に起因するか
無機粒子表面における、高分子と電気的な結合状態の変化とする理論
- 分散に最適なせん断分散速度が存在する。 (全Fillerには適用できない)
CB分散では顕著な特性がある
エラストマー、ゴムの混練でも発生する
- Fillerの分散品質が予測できる時代に入った。
- 従来の相似側は役に立たない。分散現象では相似実験ができない
- 分散品質予測技術
- 品質方程式の作成方法
- 分散品質予測精度の確認
精度を上げるため、ノイズ実験を消去する方法