ICH-E6 (R2) では、臨床試験の品質を確保するために品質マネジメントシステム (QMS) の導入が要求されます。また、リスクベーストアプローチの概念が導入され、臨床試験のプロセスやデータに影響を与えるリスクを、システムレベルで考慮することが求められます。
ICH-GCPに新しく取り入れられることになったこれらの概念は、製品やサービスの基本的な品質マネジメントシステム (QMS) の国際規格であるISO9001に基づいたものです。今後、日本の臨床試験の現場でも、グローバルスタンダード (国際標準) の品質マネジメントのあり方が求められることになります。
本講座では、まずISO9001の基本的な考え方を学びます。その上で、新しいICH-GCPが要求する品質マネジメントシステム (QMS) の重要な要素である、リスクベーストアプローチの概念を本質的に理解し、モニタリングプロセスへ適用することを目標とします。
- ISO9001について
- ISOとは?
- モノとシステムのグローバルスタンダード (国際標準) 化
- ISO9000シリーズ
- 品質とは?
- 品質マネジメントの7つの原則
- 品質マネジメントシステム (QMS) はなぜ重要か?
- 審査とは?
- 審査の目的
- 審査 (監査) の種類
- PDCAサイクルと継続的改善
- これまでの日本の臨床試験 (治験) の品質上の問題点
- Role & Responsibilityが不明確
- 手順が不明確
- 誤解された記録の重要性
- 記録が不適切・不十分
- GCP必須文書の功罪
- はんこカルチャーの功罪
- 最終成果物が綺麗ならOK?
- モニタリングレポートのQC?
- QC・QA (監査) が品質を保証する?
- ISO9001とICH-GCP
- ISO9001:2015改訂のポイント
- ICH-E6 (R2) 改訂のポイント
- ICH-GCPの2本の柱
- ISO9001とICH-GCPの関係
- プラクティカルRBM (リスクベーストモニタリング)
- リスクベーストとは?
- リスクマネジメントとリスクベーストアプローチはどう違う?
- 臨床試験データの創製プロセス
- モニタリングは監視活動
- 内部監査の位置付け
- CAPAマネジメントはもう古い?
- RBMの主体による分類
- DM・統計学的アプローチ
- モニタリングプロセスアプローチ
- モニタリングオペレーション主導のプラクティカルRBM
- リスクアセスメント
- リスクの特定
- リスクの分析
- リスクの評価
- 臨床試験の目的・結果への影響
- 許容限度の設定
- モニタリングプロセスのPDCAサイクルと継続的改善
- 失敗のコミュニケーション
- 改善のコミュニケーション